シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP商品・サービス税に関する海外事業者登録

会計・税務相談

2021年5月10日

Q.商品・サービス税に関する海外事業者登録

Q. シンガポールにおける商品・サービス税(GST)について、2023年1月1日から400Sドル以下の商品の輸入やデジタルサービス以外のサービスの輸入に対しても課税することが今年の予算案で発表されましたが、どのような場合に海外事業者として登録が必要になるのでしょうか。

 2020年1月1日より、シンガポールの顧客にデジタルサービスを提供する海外事業者は、全世界における年間売上高が100万Sドルを超え、かつGST事業者として登録していないシンガポールの法人・個人に対する年間供給高が10万Sドルを超える場合、海外事業者として内国歳入庁(IRAS)に登録し、GSTを申告納税しなければならなくなりました。2023年1月1日からは、シンガポールの顧客にデジタルサービス以外のリモートサービスやCIF価格が400Sドル以下の少額商品(LVG)を販売する海外の事業者も同様に、全世界における年間売上高が100万Sドルを超え、かつGST事業者として登録していないシンガポールの法人・個人に対する年間供給高が10万Sドルを超える場合、海外事業者としてIRASに登録し、GSTを申告納税する義務が生じます。
 

Q. リモートサービスとは、どのようなサービスのことでしょうか。

 リモートサービスとは、サービスが提供される際に受け手がその提供場所に居なくても受け取ることができるサービスを指します。既に海外事業者による申告納税が義務づけられているデジタルサービス(音楽やゲームのダウンロード、オンラインメディアの購読など)もリモートサービスの一部となります。更に、オンラインによるカスタマーサポートサービス、専門団体などのメンバーシップサービス、法務・税務などのコンサルティングサービス、オンラインによる授業や資格試験、医療相談・心理カウンセリングなどもリモートサービスの一例です。逆に、ヘアスタイリング、理学療法治療、レストラン、イベントへの実際の入場、観光ツアーなど、サービスが提供される際に受け手がその提供場所に居合わせないと成立しないサービスは、リモートサービスではありません。
 

Q. 商品やサービスがインターネット上のショッピングサイトを介して販売されている場合、ショッピングサイトの運営者と出展者のどちらが海外事業者として登録することになりますか。

 ショッピングサイトの運営者は、以下の何れかの要件に該当する場合、商品やサービスの供給事業者と見なされます。
 
 ①ショッピングサイトの運営者が顧客への請求を承認する場合
 ②ショッピングサイトの運営者が顧客への配送を承認する場合
 ③ショッピングサイトの運営者が顧客への商品・サービスの供給に関する条件を定めている場合
 ④顧客に提供される文書(請求書、領収書、画面に表示される情報など)に出展者ではなくショッピングサイトの運営者による供給であると顧客が認識するような記載がある場合
 ⑤ショッピングサイトの運営者と出展者が契約により運営者がGSTを申告納税することに合意している場合
 
 また、LVGの輸入に関しては、顧客に海外の住所を提供し、オンラインショッピングなどで購入した商品を取りまとめて配送してくれる転送サービス業者も、海外事業者としてGSTの申告納税の義務が生じる場合があります。
 

Q. 今後、海外からシンガポールの顧客に商品やサービスを販売する場合には、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

 まず、顧客がシンガポールに属するかどうか、GSTに登録しているかどうかなどを見極めるための情報を顧客から収集する仕組みをつくる必要があります。海外事業者としての登録が必要かどうかは、直近の暦年1年間の実績または今後12ヵ月間の見込みの何れかが基準額を超えるかどうかによって判断され、超えた場合は30日以内に登録しなければなりません。例えば、2022年1月1日から2022年12月31日迄の実績が基準額を超えた場合は、2023年1月30日迄に登録することになります。また、LVGをシンガポールに輸出する際、当該商品が海外事業者による申告納税の対象である場合は、輸出書類にGSTの明細を記載することが重要です。そうでないと、シンガポールの税関で二重に課税される可能性があり、万が一、そのようなことが発生した場合、海外事業者が顧客に返金することが定められています。
 

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※注:本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別のケースについて正式な助言をするものではありません。本記事内の情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。
著:Tricor Singapore Pte Ltd 斯波澄子

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