2021年3月11日
音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」と雑談の効用
急激に注目を浴び、ユーザー数が急速に拡大している音声SNSの「クラブハウス」はお使いでしょうか?これは、音声のみで気軽に話し合うことができるSNSで、雑談や井戸端会議が携帯でできるプラットフォームです。知り合い同士で話すもよし、起業家や投資家、芸能人などの話を聞いたり、気軽に質問ができるのも魅力です。
特徴的なのは、音声のみに対応していることで、他のSNSにあるような「いいね」をしたり、コメントはできません。また録音は原則禁止なので、話す方は気楽に話すことができ、聞く方は今ここでしか聞けない話を聞ける楽しさがあります。
このクラブハウスが爆発的にユーザー数を伸ばしているのには、新型コロナウイルスの流行で、気軽に雑談をしたり雑談を通して新しい人とつながる機会が減ってきている時代背景があると感じます。
クラブハウスは音声のみに特化することで、移動時間や料理などの家事をしながらラジオ感覚で聞くこともできれば、夜ベッドに入ってから、ダラダラとトークを発信することができるのが、これまでのSNSと異なるところです。クラブハウスの爆発的な成長を見ると、人には根源的に、雑談したりすることで人とつながる感覚を求めているのだと実感します。
仕事における雑談の重要性
会社においても、リモートワークでは、オンライン会議などで業務上必要な会話があっても、オフィスに集まっていたころのように、ランチを食べながら雑談を楽しんだり、ふとオフィスや外出先でいろんな人に偶然出会って繋がる機会が一気になくなっています。しかし一方で上で書いているように、人は本能的に「人とつながりたい」という欲求があります。
もちろん中には、仕事は仕事と割り切って、仕事関係の人とは深い関係を一切求めず、仕事を効率的に行ってお金を稼ぐという人もいますが、多くの人は、職場でもいい人間関係の中で安心して働きたい、人とつながりたいという気持ちがあるのではないかと思います。
リモートワーク時代の「雑談時間」とは
このような余白の時間は、オフィスに出社している時には自然と作れていたのですが、リモートワークになると、より意識的に作っていく必要があります。
会社によっては、リモートワークになってから朝礼や夕礼を導入し、その中の一部のパートで、「Good & New」として、メンバーの最近の「よかったこと」「新しい発見」について共有しています。また、ランチ時間にZoomなどのオンラインツールを使って、他部署の人も含めたランダムの数人でランチをしながら雑談をすることを仕組みとして導入している会社もあります。今日は「ハットデー」という形でテーマを作り、社内のオンライン会議に、全員なんらかの帽子を被って参加することで、雑談を誘発するイベントを行っているという話も聞きます。
リモートワークになってから、上司と部下の1 on 1ミーティングを導入する会社も一気に増えています。これも、オフィスにいた時のように、ふとした時に上司が部下に声をかけて雑談することが難しくなっている状況があります。1週間のうち30分でも時間をとって、気になっていることや相談したいことなど、業務と関係ないことでも1 on 1で話をする時間を仕組みとして導入することで、仕事がしやすくなったり、モチベーションがあがっている事例が数多く出てきています。
あなたの会社でも、メンバーの心理的安全性を高めたり、エンゲージメントを上げるために、「雑談」を効果的に誘発する仕組みを導入してみてはいかがでしょうか?
森田 英一(もりた えいいち)
beyond global グループ President & CEO
大阪大学大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュアにて人・組織のコンサルティングに従事。その後シェイク社、beyond global社を創業。日系企業のグローバル化支援事業を手掛ける。社員の主体性やリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発ファシリテーションに定評がある。日本全国6万人の人事キーパーソンが選ぶ「HRアワード2013」(主催:日本の人事部 後援:厚生労働省)の教育・研修部門で最優秀賞受賞。主な著作「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「会社を変える組織開発」(PHP新書)など。日経スペシャル「ガイアの夜明け」「とくダネ!」などメディア出演多数。シンガポール在住。シンガポール在住。
人と組織の可能性を拓く beyond global グループ(シンガポール・タイ・日本)
グローバルリーダーシップ研究所
Email: info@beyond-g.com