シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP新型コロナウイルスに感染。労災対象になるの?

海外進出「社会保険・労務管理」

2020年6月4日

Q.新型コロナウイルスに感染。労災対象になるの?

~特別加入の手続きが前提になるが、要件を満たせば対象になることも~

 

Q.私は、シンガポールの現地法人に出向しています。現在、新型コロナウイルスの影響により、自宅待機中のため仕事はしていない状況ですが、仮に海外赴任中に感染してしまった場合、労災の対象となるのでしょうか。(Aさん)

A. 海外赴任の場合、そもそも労災が対象外となるため、労災の対象になるには会社が特別加入の手続きをしていなければなりません。その上で、労災が認められるためには、①業務遂行性と、②業務起因性が認められる必要があります。新型コロナウイルスの場合は、感染機会や感染経路が業務中であることが特定され、感染から発症するまでの潜伏期間や症状などに医学的な矛盾がなく、業務以外の感染源や感染機会が認められないような場合に対象となる点が原則的な考え方です。例えば、職場に罹患者がいて、その人と濃厚接触した場合などがそのケースと考えられます。
 
 従って、Aさんは海外赴任中とのことですので、特別加入の手続きをされているの事が前提になりますが、自宅待機中で仕事をしていないので、原則的に労災の対象とはなりません。
 
 海外出張の場合は、出張行程全般にわたって会社の支配下にあり、業務遂行性があることになるので、海外赴任の場合よりも広く労災の対象となります。
 
 上記が原則的な考え方になりますが、現地における感染状況や会社の対応によっても変わってくる可能性があります。日々新しい情報が厚生労働省のホームページで公表されていますので、ご自身でも各情報をご確認ください。
 

社労士大槻オフィスシンガポール
80 Robinson Road, #10-01A Singapore 068898
http://www.otuki.org
ご相談はE-mailにてご連絡ください。
Singapore@otuki.org (担当:武田 正行)

 

このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP新型コロナウイルスに感染。労災対象になるの?