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シンガ会社経営 サプリメント

2020年5月18日

お金の流れ最適化:取引の摩擦(取引コスト)を抑える

 シンガポールの魅力の一つに“取引の摩擦”(取引コスト)が引き下げ易いこと、があります。国際ビジネスで大きな影響のある3つの摩擦と、その対処を整理しました。一言でまとめると「取引前に取引フローをしっかりデザインすることが肝」です。
 

銀行

 外貨・海外送金では送金にも着金にも手数料がかかります。更には、中継銀行手数料まであります。例えばUSD送金は必ずアメリカの銀行を経由し、そこで中継手数料がかかります。送金自体は少額でも、こうした手数料を合計すると取引金額の2~3%にも上ることがあります。銀行手数料を抑えるには、複数請求をまとめて支払う、中継手数料が無い通貨で契約する、あるいはTransferWiseのような手数料が安い新興送金サービスを使うことも一考です。
 

両替

 両替は目立たないものの、実は重いコストです。例えば77JPY⇒1SGDで両替できても、SGD両替時は1SGD⇒75JPYにしかならない。つまり両替レートには密かに手数料が含まれているのです。また銀行口座での外貨着金も注意が必要です。JPY支払をSGD口座で着金(SGDに自動両替)、次にSGD口座からJPYに両替して支払すると2回両替コストがかかります。コスト抑制には、複数通貨の銀行口座を持つこと、銀行との交渉やWallexのような両替サービスで好レートを得るのが効果的です。
 

税金

 想像以上に大きな影響があるのは税金です。GSTがかかるか、源泉徴収税対象か、更に利益の何%が取られるか(法人税)など、税金により、収益性や事業存続可否の決定要因にもなります。GST登録は売上100万SGD以上になると必須ですが、委託販売(手数料だけが売上)か買取販売(売値全額が売上)かで売上が大きく異なるため、GST登録の分かれ目にもなります。税金の最適化をするには、事業や取引を開始する前から設計を検討し、顧客との契約内容等にも留意する必要があります。
 

 


高橋正名
Singa Company Services Pte Ltd Managing Director
日本にてコーポレート・ファイナンス、組織開発コンサルティングに従事した後、シンガポールに移住、「シンガ・カンパニー・サービス」を創業。
会計、税務、会社関連登記、ビザ申請、財務コンサルティングを専門として、クライアントの会社経営を全面サポートすべく日々奮闘中。
Website: singacompanyservices.com
Email: toiawase@singacompanyservices.com

※ USD=USドル、JPY=日本円、SGD=Sドル

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