シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP《視点ズーミング思考その2》~プロの隠れたニーズを発見する視点~

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2020年4月8日

《視点ズーミング思考その2》~プロの隠れたニーズを発見する視点~

※視点ズーミング思考に関して前回の記事はこちら
 

今更訊けないプロやベテランの悩み

 いわゆる専門家や、その道に長く携わって精通している人は、ちょっと切り口の違う技術を学ぶ機会がないまま成功してしまう場合があります。特に先生と呼ばれたり、偉い肩書がついてしまうと、知らないことを今さら訊いて教わるなんて恥ずかしい、という隠れた悩みがあるものです。
 
 その隠れた悩みをこっそりと解決してくれる市場は、ブルーオーシャン(未開拓市場)。まさに最高の宝の山です。自分の技術や知識、経験から得た智慧を人に教えるビジネスを考える場合、特に対象者をどういう分野に絞り込むかが成否を分ける大きなポイントになります。今回は、たとえお金を払ってでも解決したい悩みを持つプロの専門家に、自分の知識を教えて成功した2つのビジネス事例を紹介します。
 

プロのデザイナーにデザインの基礎を教える

 M先生は美術大学の出身でしたが、卒業後、特にその知識を活かした仕事はしていませんでした。ところが、美大で学んだデッサンの基礎を教える講座を開設することになったのです。想定した受講者は絵の基本を習得したい、趣味で学ぶ人。インターネットで募集を始めましたが、思うように集客ができません。ただ、受講希望者の中にプロデザイナーが1人混ざっている事に気づきました。何故、プロのデザイナーが今更デッサンを学ぶのか?常識では考えられません。
 
 最近のデザイナーは、専用のソフトウェアを使ってデザインすることがほとんどで、美術大学を卒業していなくも、パソコンを使えればデザイン画はできます。その一方で、実は、手書きのデッサン図面制作の要望が来るとお手上げ、という隠れた悩みがあった訳です。M先生は、受講ターゲットをプロのデザイナーに絞り込んで、集客をかけなおしたところ、毎回すぐ満席の状態になり、これがブレイクのきっかけになりました。その後、テレビ出演のオファーも来るようになり、現在ではアートスクールの代表まで務めるようになりました。
 

ベテランエンジニアにデジタルの基礎を教える

 これは私自身の事例ですが、前職のソニーのエンジニア時代から、文系の人たちにも科学技術の基礎をわかりやすく教える講座を開講していました。専門分野である半導体やデジタルの基礎の本を監修し、それを基に教えた事もあります。独立後も依頼があれば続けていましたが、需要は少なく、むしろ小学生向けの理科実験教室の方が遥かに人気でした。
 
 そんな折、商工会議所で講演をした際に、工業部会長から声をかけられました。「技術マーケティングの話は確かに面白かったが、我々ベテランにはもっと学びたい事がある。それはデジタルの基礎。我々はアナログ回路が主流の時代に活躍したので、デジタル回路は設計しないうちに通り過ぎてしまった。しかし、若いモンからは今さら教わりたくない!」。これがきっかけで、ベテランのエンジニア向けに、『今さら訊けない技術講座』がスタートしたのです。しかも、こっそりとお悩みを解決するために、受講生募集はすべて口コミ。顧問契約先の企業からも好評です。これがフロントセミナーになり、別の大きな講演会のオファーを受けるきっかけに発展していきました。
 
 2例共に、常識に惑わされない視点がポイントです。専門家の隠れた悩みを解決するために、あなたのスキルも、もっと活かしてみませんか?
 


石川 耀弓 (いしかわ きくよ)
【元ソニーの女性エジソン】の異名を持つ、デジカメの電子シャッターの発明者!
全国発明表彰、特許特級表彰、アントレプレナー賞を受賞。現在は、中小企業のキラリと光る技術を発掘して世界に発信する【フィールウェア・プロジェクト】を主宰。脳の使い方をナビゲートするブレイン・アナリストとしても活躍。ペンネーム下川眞季で『”かわいい”のわざが世界を変える!~フィールウェアという発想~』(彩流社)を上梓。
 
株式会社 ダヴィンチ・ブレインズ 代表取締役社長
(NPO)大田ビジネス創造協議会 理事、技術士(経営工学)
会社URL http://www.davinci-brains.co.jp/
フィールウェア・プロジェクト http://feelware.jp/
著作本書評 http://eliesbook.co.jp/review/ Vol.4932
「かわいい」のわざが世界を変える フィールウェアという発想[本/雑誌] / 下川眞季/著
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