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ビジネスインタビュー

2013年11月18日

化粧品と健康食品でアセアンの美と健康を変革する「グローカル戦略」

ORBIS ASIA PACIFIC Headquarters PTE.LTD 横山隆さん

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オイルフリー化粧品やダイエット食品が多くの女性に支持され、日本の美と健康分野で確固たる地位を築いてきた化粧品ブランド、オルビスがいよいよシンガポールに進出。7月に設立された現地法人、ORBIS ASIA PACIFIC Headquarters PTE.LTD.で代表取締役社長を務める横山隆氏に、アセアンでの事業戦略について伺った。(以下敬称略)

 

 

-AsiaX
シンガポールでビジネスを展開される理由および目的は。
-横山
当社は、ポーラ・オルビスHDの子会社であるオルビスが、アセアン初の事業戦略とファイナンス戦略をスピーディーに執行する為に創設した地域統括本社です。シンガポールを選んだ理由としては、マクロやミクロマーケティングデータによって判断した市場成長率は勿論の事、国制度の透明性、そして色々な調査や分析からも投資以上のリターンが期待できると判断した事も重要なポイントでした。今後は、このアジアパシフィック地域統括本社を基点とし、アセアン諸国の事業拡大に向けて、ファイナンス戦略や経営戦略を策定し執行していきます。
また、ステークホルダーの方々にすでにコミットさせて頂いている海外売上比率20%という数字も、アジアパシフィック地域統括本社が、その一役を担いたいと考えています。

 

-AsiaX
現在の事業における主力製品について教えてください。
-横山
まず、基礎化粧品です。中でも保湿を目的とした100%オイルフリーの化粧品「アクアフォース」は、スキンケアシリーズの中で最もお客様に支持をいただいている商品です。シンガポールは高温多湿にもかかわらず、室内はエアコンが効き過ぎて空気が乾燥している。保湿効果に優れた「アクアフォース」のニーズは、かなり高いと期待しています。その次は、健康美容食品です。特に、食事の置き換えダイエットの「プチシェイク」は、日本では毎年ベストセラーとなっています。
このように、外側だけでなく、内側からの美容もサポートする「内外美容」を提唱するオルビスならではの商品展開に、是非ご期待いただければと思います。

 

-AsiaX
シンガポールでビジネスを展開するにあたって、最も力を入れている点は。
-横山
商品面のみならず、サービス面でも高いクオリティを実現していくことです。オルビスは日本最大級の顧客満足度調査の通販事業部門において、2011から2013年まで、3年連続で1位となりました。これは、女性の立場に立って利便性を追求してきた結果と受け止めています。シンガポールにおいても、お客様の期待に丁寧かつスピーディーにお応えしていきたいですね。

 

-AsiaX
シンガポール、およびアセアン諸国市場における今後の戦略について教えてください。
-横山
これまでも海外展開をしてきましたが、シンガポールを基点とするアセアンでの戦略は従来の戦略とは全く異なるモノです。これまで以上にグローバルな視点でビジネスモデルを創生し、かつローカルな視点でお客様に喜んで頂ける商品やサービスを追求する。キーワードは「グローカル戦略」です。加えて、ここシンガポールで、根付いた経営をしていくことも、極めて重要なミッションだと感じています。
シンガポールでは「タッチングポイント戦略」を執行していきます。これはお客様との直接的なコミュニケーションポイントを増やすことにより、お客様にドキドキワクワク感をファイブセンス(五感)にて楽しんで頂きたいといった戦略です。これにより、お客様が必要とするサービスを適時に把握し、そして的確にご提供していく事が可能となります。
これからも、シンガポールだけでなくマレーシア、インドネシア、フィリピンなどへ事業展開する際に、お客様の満足を追求するというビジネスの根幹は変わりません。

 

-AsiaX
シンガポールの消費者のニーズをつかむために、具体的にはどのような工夫をされていますか。
-横山
まずサービス面では、お客様から商品の使用方法などの質問があれば、お客様視点で親切にお答えします。ここアセアンマーケットでは、オルビスは、まだまだ無名のバージンブランドですから、こうした小さな「おもてなし」の積み重ねがブランディングのプラットフォーム構築につながると確信しています。
そして、商品面では、基本的には日本同様の商品を展開しますが、ダイエット食品の「プチシェイク」についてはシンガポール限定のオリジナル商品を開発します。何度も何度も、シンガポール在住の日本人のお客様やローカルのお客様に試作品を食して頂く機会を設けて、当地での趣向性を研究した結果、誕生した「ピンクグアバ味」なども販売します。
これも、わたくしが掲げている「グローカル戦略」の一環です。

 

-AsiaX
オルビスブランドの強みと、競合ブランドとの差別化についてお聞かせください。
-横山
幾つもある強みの一つとして、化粧品ブランドでありながら、食品を併せ持っていることでしょう。アセアンにおいても、化粧品やダイエット食品の両分野に実績がある当社ならではの強みを、徹底的に訴求していきます。また、「高品質なのにお手頃な価格」というメッセージも、強みや魅力の一つです。これらのブランドコンピテンシーを、積極的にかつスピーディーに、シンガポールをはじめとするアセアン諸国でも浸透させていきたいと考えています。差別化という面では、競合ブランドを上回るスピードでアセアン展開を執行していくことですね。このポイントは、ステークホルダーの方々からも期待されていると、わたくしは確信しております。

 

-AsiaX
多国籍の社員とのコミュニケーションで特に気をつけていることは。
-横山
「Top to down」のワンサイドコミュニケーションではなく、社員とわたくし自身がきっちりと意見を交わせるように、俗に言う「心のつながり」を重視していますし、これまでの経営経験から体に染み付いていますね。これは、企業が成長する為の最大のドライバーは「人財」である、というわたくし自身の信念に基づいています。ここアセアンでの「グローバル人財の育成戦略」も、経営責任者のわたくしに期待されているポイントだと自負しています。ですから、自らが、ローカルマーケットという「現場」に立ち、交渉に臨む姿を、自分の背中で示していくことも、重要なコミュニケーションの一つと肝に銘じています。

 

-AsiaX
最後に、アジアエックス読者へのメッセージをお願いします。
-横山
日本経済規模のみならず、世界経済規模の課題を解決できる「グローバル人財」を目指すことが、極めて重要になると思います。わたくし自身も含め、レベルの高い、そして価値のある仕事をやり遂げることで、どれだけのことが本質的に身についていくかを意識し続けることが極めて重要だと確信しております。ステークホルダーの方々や顧客のために価値のある仕事をすることは、最終的には「しあわせ」というかたちで、きっと自分に返ってくるはず。皆さんにも是非チャレンジして頂きたいです。

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横山 隆(よこやま たかし)

オルビスにおいて初めてアセアン事業を立ち上げ、アジアパシフィック戦略本部長などを歴任し、アジアパシフィック地域統括本社の社長(Representative Director and President, President & CEO)に就任。これまでも、ブランディング、企業再生、ファイナンス戦略、M&A戦略の遂行など、グローバルレベルで携わってきたことで知られる。

ORBIS ASIA PACIFIC Headquarters PTE.LTD.
260 Orchard Road, Robinsons Orcherd Singapore 238855
TEL:6836-2837

260 Orchard Road, Robinsons Orchard Singapore 238855

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.246(2013年11月18日発行)」に掲載されたものです。
取材=鈴木雪子

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