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シンガポールにおける損害保険

2020年1月4日

シンガポールにおけるサイバー保険

シンガポールの損害保険事情 第4回

 シンガポールは2014年から、デジタル技術とデータを活用した社会の実現を目指す「Smart Nation Initiatives」を戦略的国家プロジェクトとしています。一方で、各国政府や官公庁、企業等(以降、組織)にとって、サイバーリスクは大きな脅威です。本稿では、身近にあるサイバーリスクとサイバー保険についてご説明いたします。
 

身近にあるサイバーリスク

 東南アジアは、現在インターネットやその他ネット環境への接続において世界で最も急速に成長している地域です。この急速な変化を背景に、組織におけるサイバーセキュリティの脆弱性をつくサイバー攻撃が目立って増加しています。ところが、東南アジアの日系のお客さまに目を向けますと、「事業規模が小さいから」「大した情報を持っていないから」という理由で、サイバーセキュリティ対策を十分に進めていないケースも見受けられます。
 
 「自分たちがサイバー攻撃の標的になりうるはずがない」という声を聴くこともありますが、公表されている以下の数字を見ると、サイバー攻撃は思いのほか身近に存在していると考えるべきでしょう。
 

 
 サイバーインシデント(サイバー攻撃による事故)については、インシデントが発生しているにも関わらず、その事実を認識できていない組織もあるといわれています。サイバー攻撃による事故は日常的に発生しており、サイバー攻撃を受けた場合、被害の範囲が特定できないことから非常に大きな経済的な損害となる可能性があります。事業を持続的に遂行していくため、自らの事業におけるサイバーリスクの特定、サイバーセキュリティ対策の構築、インシデントが発生した場合の検知と対応ならびに復旧まで、徹底した事前の備えが不可欠です。
 

サイバー保険の概要

 サイバーインシデントへの対応としては、第三者からの賠償損害に加えて、その原因調査や復旧ならびに対策が重要となります。一般的に、「サイバー保険」では以下のような損害を補償します。
 

 
 サイバーインシデントの発生を防止するためには事前のセキュリティ対策が重要です。ただ、不幸にもインシデントが発生した場合に備えて「サイバー保険」の活用もご検討されることを推奨いたします。
 
 


細井 崇明/ Takaaki Hosoi
MSIG Holdings (Asia) Pte Ltd

栃木県出身。2006年、三井住友海上火災保険(株)入社。金融機関保険窓販に関わる営業、企画立案・営業推進業務等に従事。2019年4月、MSIG Holdings (Asia) Pte
Ltd に赴任。同社は、三井住友海上火災保険(株)のアジア・オセアニア地域の損害保険事業を統括する地域持株会社であり、同地域の事業戦略・方針の立案、事業推進の支援・管理監督を行っている。

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