シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPここに注目! シンガポールの生活&ビジネスルール

座談会

2018年8月28日

ここに注目! シンガポールの生活&ビジネスルール

西尾:本当ですか!? 今日、それで来ましたよ。(一同爆笑)

 

菅谷:この場合は、Grabカーの運転手が罰金を払わなければなりません。Grabに関しては今も様々な規制があります。例えば、身長135cm以下のお子さんの場合、チャイルドシート等がなければ乗車できません。タクシーの場合は、なぜかチャイルドシート等がなくても乗れるようです。

 

神田:安全という意味では、Grabの方がタクシーより運転が丁寧な気がするけど…。

 

泉:Grab Car、Grab Shareの車には135cm以下の子供は乗れませんが、Grab Taxi、Grab Limoを利用するか、チャイルドシートを設置したGrab Familyであれば乗れますね。

 

AsiaX:交通事故時の対応に関してはいかがですか。アドバイスをいただけますか?

 

菅谷:もし事故を起こしたら、保険会社に24時間以内に事故の連絡をしないと保険でカバーされないことが多いので、注意しなければなりません。
もう一つ、日本との決定的な違いとして、被害者は相手方からの要求があれば、相手方に対して事故車を検査させないと、裁判になった際に損害賠償請求等が認められないということがあります。自分で勝手に事故車を修理に出したら、後々不利になりうることに注意が必要です。

 

気になる個人情報の取り扱い

AsiaX:シンガポールはオンラインで非常に効率的に物事を進めることができる国でもあります。そうした中で、個人情報に関して感じることはありますか。

 

泉:毎日、銀行や保険会社から営業の電話が掛かってくることに驚いていますし、いったいどこから個人情報が漏れているのか不思議に思います。世界的には厳しくなっていると言われる個人情報保護ですが、法律上はともかくプラクティス上は意外に緩いのかなと、実生活を通して感じています。

 

川崎:一時期、会社に中国語での迷惑電話が多く掛かってきました。海外を経由しているようにも感じました。社員は対応に時間を取られましたね。

 

菅谷:実際にシンガポールの勧誘規制は厳しくなってきています。電話等勧誘拒否の登録制度(Do Not Call Registry)に登録すれば、電話やSMSによる勧誘は来なくなります。逆に、登録されている電話番号に勧誘の電話を掛けた場合には、発信した会社が法律違反になります。
企業が管理する個人情報についての規制も年々厳しくなっており、実際、個人情報保護法(Personal Data Protection Act=PDPA)に関するご相談は非常に多いです。

 

法律より契約書、異なる雇用慣行

AsiaX:採用など雇用関係の法律で、違いを感じること、気になっていることはありますか。

 

マッカイ:日本では口頭で同意して契約を交わすことがありますが、シンガポールでは口頭上の契約は成立しないと聞いたことがあります。本当ですか?

 

菅谷:口頭の契約も立派な契約です。ただ、契約が成立すると言っても、相手方に「そんな契約をした覚えがない」と言われたときには、契約の存在を証明するために何らかの証拠が必要となります。

 

西尾:採用した従業員に契約時の職務の範囲を超えて少し手伝ってもらいたいという場合もあると思います。まったく手伝ってもらうことはできないのでしょうか?

 

菅谷:契約書面に、職務を列挙したあとにスーパーバイザーは他に仕事を命じることができる(may)と書き添えてあれば、列挙されていない仕事も依頼できます。この一文を挿れておいたほうが良いですね。

 

川崎:解雇に関してはいかがですか。倉庫を運営していると、作業ぶりは各人の個性によって全く違うので、しばしば解雇に関連して悩むことがあります。

 

菅谷:解雇も日本とは異なります。適切な手順を踏めば争いが生じる可能性は減りますが、例えば事前に何の通知もせず「明日からは来なくていい」という形で解雇した場合には、当然争いに発展する可能性が高くなります。

 

マッカイ:解雇も契約書がベースになりますか。

 

菅谷:そうですね、基本的には解雇も契約書がベースになります。シンガポールにも日本の労働法に相当する法律はありますが、その適用範囲が明らかに日本法とは異なります。雇用法が適用される部分については、契約書ではなく雇用法が優先されて適用される場合が多いのですが、雇用法が適用されない部分は、全て契約書で決めることになります。その意味では、契約書が非常に重要になってきます。採用時、契約終了時には、必ず契約書を熟読してください。

 

トラブルが起きた場合の対応

AsiaX:生活上、ビジネス上で、トラブルなどに遭遇したことはありますか。

 

神田:シンガポールに住み始めた頃ですが、住宅の賃貸契約を更新しないことを大家に伝えたところ、未だ居住中にも関わらず次の入居候補者が下見に来た時には驚きました。きれいに片付けていなかったことから、その後、大家と揉めました。当時は、退去までに整理にすれば良いと思っていました。

 

菅谷:退出する2、3カ月前に、現在住んでいる人は、新しく住む人に対して、生活している状態で部屋を閲覧させなければならないという条項が賃貸借契約書に入っている場合が多いです。これは日本にはないシステムだと思います。事前に知っていないと、日本人は戸惑いますね。

 

西尾:逆に、借りる際に細かい傷などをチェックしていたら、エージェントの担当者から「借りる前に細かくチェックし過ぎると、退去時に想像している以上に細かく見られてしまうこともある」とアドバイスがありました。歩み寄りの気持ちを持っておいたほうが良いような気がします。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPここに注目! シンガポールの生活&ビジネスルール