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座談会

2018年4月25日

増加する訪星外国人と転換期の観光・ホテル産業

急速な変化を続けるシンガポール

AsiaX:現在、シンガポールへの観光客は右肩上がりで推移しています。世界で行きたい都市ランキング100の中でも4位に選ばれました。日本からの観光客について、これまでのところどのような手応えを感じ、印象を持たれていますか。

 

折山:年末年始は特に日本からのお客様が非常に増えました。日本の友人からは、最近テレビではシンガポールを特集する番組が頻繁に放送されていると聞いています。ところが、実際にシンガポールのホテルでお客様と接していると、シンガポールに対してまだ馴染みが少ないように感じます。ホーカーのような東南アジアのローカルな面から都会のエンターテインメントまで揃っていて、安全面においても日本に劣らないということをもっと打ち出して欲しいなと思います。

 

野口:シンガポールは小さい国なので、観光地目線で言えば3泊で十分です。なかなか再訪したいと思われないかもしれませんが、シンガポールは変化が非常に早いので、1年経つと全く違う雰囲気になりますね。
当社のパークも常に期間限定の展示を行っており、何度お越しいただいても楽しめるよう工夫が凝らされています。また今年7月からは全く新しい夜のプログラムも始まりますので、乞うご期待です。
この国の特徴である移り変わりの激しさをもっと広く認識していただけたらと思いますね。

 

 

AsiaX:シンガポールはインバウンド政策に力を入れています。ナイト・サファリ、マリーナ・ベイ・サンズ等、政府主導で作り上げてきた大型テーマパークのほか、チャイナ・タウン、リトル・インディア等、各民族の伝統や文化を残す地域、そして大型商業施設等が立ち並ぶオーチャード・ロード等が軸になっています。そうした中での取り組みをご紹介いただけますか。

 

佐藤:当社の2018年の取り組みとしては様々ありますが、特に芸術面に着目しています。政府と共に新進気鋭のアーティストの絵画を展示して、ワークショップを企画するなどして当ホテルの会員様に楽しんでいただいています。今後は日本とシンガポールの芸術文化のコラボレーション企画なども提案していきたいと思っています。また、今年度末に復活するシンガポールセレター空港の定期旅客便による集客の増加にも注目しています。

 

野口:正確には政府主導ということではありませんが、当社には4つのパークがあり、現在マンダイプロジェクトという計画が進んでいます。シンガポール動物園、リバー・サファリ、ナイト・サファリが北部のマンダイエリアにあり、ジュロン・バードパークだけが離れているのですが、ここを2020年にマンダイに移設し、4つのパークを集結させます。新しくインドアアトラクションとレインフォレストパーク、さらに2023年にはホテルもオープンする予定です。

 

AsiaX:国内最大のイベントF1グランプリ開催契約更新が決まり、2018年から2021年まで4年間延長されることになりました。マリーナ・ベイの美しい夜景をバックに行われるナイトレースは、シンガポールで最もスリリングなイベントとなっています。佐藤さんはご経験がありますね。どう見ていますか?

 

佐藤:ホテルで働いている3人の中で、F1を経験しているのは私だけですね(笑)。2008年の初開催の時期、私は前職のパンパシフィックシンガポールで勤務していました。F1の良い面は、シンガポール全体の観光が盛り上がっていくことです。F1を観戦できるレストランなどは入場料が10万円、パーティー参加費は20万円といった価格がつくので、売り上げは急上昇します。一方、1週間ほど前から交通規制が敷かれますので、その期間は売り上げが非常に少なくなります。規制エリア内に立地するレストランも集客ができなくなるので、アンテナショップを出したり、MRTを利用して足を運べる場所でF1プレイベントのようなことを開いたりしています。
マイナス要素をプラス面で埋めているので、全体としては一気に利益が上がる印象はないですね。ただ、政府のコントロールは事前にF1エリアへの交通規制の為の車両通行証を発行するなど、年々改善していると思います。

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