シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第7回 男性脳型会議 ・ 女性脳型会議

職場の人間関係に生かす、男女の脳の違いとは?

2018年3月31日

第7回 男性脳型会議 ・ 女性脳型会議

脳の使う場所によって、
効率のいい会議の方式が違う

会議中、アイデアを出しあう場面が来たが、会議前にはいろいろ浮かんでいたアイデアが消えてしまって思い出せない。結局、周りの人たちも、たいていは常識的なことを言うだけで、2年前の議事録に書かれているアイデアから進歩が無い……。こんなご経験はありませんか?

 

この状態は、ホワイトボードにテーマが箇条書きされ、レジュメに従ってきっちり進む報告や確認の議題の後に、アイデアを出さないといけない議題が続くと起きやすいのです。

 

会議には、報告や、予算案の審議、担当決め、複数案の比較検討などの何をするかはっきり分かっていることを扱う「情報整理型会議」と、新規事業案や、画期的な新製品案を出しあうような「発想型会議」があります。

 

「情報整理型会議」は、俯瞰力を使い最適解を出す「男性脳型会議」です。こちらは、客観的データを集め、説得力のあるプレゼン資料を作るなどの事前準備の上、問題点をつぶしながら合理的に短時間で決めていきます。

 

「発想型会議」は、今までの製品や技術、市場に囚われずに発想を広げていく「女性脳型会議」です。こちらは、人の出したアイデアの問題点の指摘などをせず、人のアイデアをヒントに発展させたり、全く違う方向にアイデアを出したり、どんどん出てくるアイデアを出すだけ出します。

 

この2つの会議は、同じ日に続けて行うと、脳の切り替えがうまくできずに成果が出にくくなります。気分が変わる別の日に行うことをお薦めします。

 

実は、男性も女性も脳梁を頻繁に介して脳全体を使う女性脳型の使い方と、脳梁をあまり介さず脳の特定の部分を使う男性脳型の使い方の両方を交互に使い分けています。ですから、男性で女性脳型に脳を使うことが多い人もいれば、女性で男性脳型に脳を多く使う人もいるのです。

 

男性脳でも、ゼロから新たな発想を生むときには「発想型会議」が有効ですし、女性脳でも、複数の候補を一つに絞るときなどは「整理型会議」が効率的です。

 

会社や学校などで意識的に行う仕事などは、男女脳の特徴は目立ちませんが、幸せなときに能力が発揮できる女性脳と苦境のときに能力が発揮できる男性脳を会議のときにも意識すると良いのです。

 

「発想型会議」では、女性脳型の力を出したいので、幸せな状況になるように意識するということです。たとえば、甘いものを食べてリラックスした雰囲気をつくり、和気あいあいと楽しい話し合いができるように共感し、脇道にそれ放題にすると、斬新なアイデアも、くだらないアイデアもどんどん出てきます。意外にくだらないと思うアイデアは皆が気軽に楽しく参加できるので、貴重です。女性脳には、場を整えることがとても重要なのです。それは、女性脳が、「自分の気持ち」を基準にしながら、そのサービスや商品を使う将来の想定ユーザの気持ちになり、その機能を享受するときの喜びや戸惑いを想像しながら、アイデアを出すからです。「自分の気持ちを感じやすい」「自分の気持ちを口にしやすい」環境でなければ、アイデアも出にくく、意見も言いにくいのです。

 

「情報整理型会議」には、男性脳型の力を出したいので、業績が下がっているような厳しい状況を打開するためや、現状よりも数段高い目標を要求するなどの危機的状況を意識します。効率よく短時間で決定して脳を女性脳型にしないようにしましょう。また、個人目標ではなくチーム目標にすると会議が終わって実行するときも男性脳にも女性脳にも力が出しやすくなります。

 

男女脳を知ると、コミュニケーションが取りやすくなるだけではなく、会議の目的によって効率の良い運営もできるようになるのです。

326web_MsTezuka著者プロフィール
手塚 祐基
 (てづか ゆうき)

株式会社感性リサーチ 客員研究員 感性アナリスト、プロダクトデザイナー

1985年、東京芸術大学卒業後、時計製造会社で腕時計のデザインに携わる。2006年、「怪獣の名前はなぜガギグゲゴなのか」で知られる感性研究の第一人者、黒川伊保子氏の感性理論に出会い師事する。現在は感性研究の実績を生かし、製品開発やネーミングのコンサルティングおよび、ジェトロ岐阜やアジアエックス主催のシンガポール講演など、企業向け講演活動を行う。倉敷芸術科学大学非常勤講師。筑波大学感性認知脳科学専攻の研究セミナー、工学院大学情報デザイン課セミナー、東京大学大学院情報学環主催セミナーなどの講師も務める。著書に、共著『人は語感で いい・悪いを決める』(KAWADE夢文庫)。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.332(2018年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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