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職場の人間関係に生かす、男女の脳の違いとは?

2018年3月1日

第6回 男女脳差を理解して企業力アップに!《人間関係に効く男女脳》

FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグ氏が著書の『リーン・イン』の中で「自分が妊婦になるまでは、妊婦が会社の入口付近に車を駐車したいと思うということに気がつかなかった。」と、ご自身の経験を書いています。

 

同性でも自分がその立場になってみないと気がつかないことがあるのです。ましてや男性脳型の人と女性脳型の人では同じ人間ではあるけれどもお互いに相手が感じていることに気がつきません。お互いに、見ているものも違うし、ゴール指向とプロセス指向の違いもあるし、関心の持ち方も、良いと思うことも違います。こんなに違う相手を心から理解することはできないですね。

 

しかし、相手の行動や言動が、なぜそうなのか?がわかれば、「自分ならそんなことはしない!」と怒ってみたり、「嫌がらせをされている。」と悲しくなったりしないですみます。ビジネスシーンでは、部下のモチベーションを下げてしまったり、管理職候補で採用した女性社員に管理職に登用する辞令を出したら辞めてしまったり、などを防ぐことができます。

 

企業で男女脳差の理解の研修をすると「イライラする相手の言動に、男女脳を知ってから、イライラしなくなりました。」と、ご感想を頂きます。イライラが減るだけでも、気分よく仕事ができますね。ご家庭でも、会社でも、大切な人との人間関係を良好にするには、男性脳・女性脳の知識が必須です。

理解できない相手ほど
自分にない能力を持っている

私たちは、自分ができることを相手ができないと、「ダメなやつだな」と思い、相手ができて自分にできないことがあると、「そんなこと大したことじゃない」と過小評価してしまいます。どうしても自分中心になってしまうのです。自分が持っていない能力を相手が持っているのに、その良さに気付かないもの。

 

そんなわけで、男性脳が大半を占める会議では、女性脳の提案はなかなか評価されません。第4回目でご紹介したNTTの『ナンバーディスプレイ』は、企画会議で、男性脳の方々全員が「なんでそんなものが要るのか?」と理解しなかったそうです。

 

女性脳は、生活者の視点で新規企画を出すことや、アイデアだしのブレーンストーミングは大得意です。男性脳にとってたいしたことのない提案は、実は世の中から求められる売れる商品やサービスの可能性大です。

 

男性脳は、大量の製品を安定して供給する仕組みを作ることや、現行の商品やサービスの組合せやアイデアを出すことは得意ですので、事業規模拡大には不可欠です。

 

もし、あなたの事業が新展開をしなければいけない時ならば、自分たちと違う能力をもった人を会社組織の中に入れることをお勧めすします。

この世に2つの脳があるということ

片方は、高い空間認知力を使って、見渡す限りの空間を把握し、獲物までの距離を正確に測る。世界経済や宇宙論を楽々と扱い、複雑な機構も組み立てる。変化には弱いが死ぬまで頑張れる脳の持ち主。

 

もう片方は、察する力と臨機応変力で子供の体調変化を見逃さず、食べ物の腐り具合も見逃さない。ビジネスシーンでは、顧客の気持ちに寄り添い、豊かな発想力ときめ細やかなサービス展開をし、はてしなく先の見えない仕事にタフな脳の持ち主。

 

この2つの脳を一つの頭蓋骨に入れると理想の脳ができそうですが、危機的状況でとっさの判断をするとき、真逆の動作が浮かぶため、どちらか決めかねて身体が動かず逃げ遅れてしまいます。

 

あえて2つの脳タイプに分けて作られた人間の脳は、一番違いのある2つの脳以外の脳も、ひとりずつ違っています。自分の脳と他者の脳との違いは、男女だけの違いではなく、国籍や言葉、骨格の違いなどの影響もあります。

 

自分以外の脳の良さを知れば、違っているからこそ、共棲する意味があることに気づくのです。

 

※ここで言う「男性脳」「女性脳」は下記です。
男性脳:右左脳をつなぐ脳梁の連携をあまりしないタイプの脳のこと
女性脳:右左脳をつなぐ脳梁の連携が頻繁なタイプの脳のこと

326web_MsTezuka著者プロフィール
手塚 祐基
 (てづか ゆうき)

株式会社感性リサーチ 客員研究員 感性アナリスト、プロダクトデザイナー

1985年、東京芸術大学卒業後、時計製造会社で腕時計のデザインに携わる。2006年、「怪獣の名前はなぜガギグゲゴなのか」で知られる感性研究の第一人者、黒川伊保子氏の感性理論に出会い師事する。現在は感性研究の実績を生かし、製品開発やネーミングのコンサルティングおよび、ジェトロ岐阜やアジアエックス主催のシンガポール講演など、企業向け講演活動を行う。倉敷芸術科学大学非常勤講師。筑波大学感性認知脳科学専攻の研究セミナー、工学院大学情報デザイン課セミナー、東京大学大学院情報学環主催セミナーなどの講師も務める。著書に、共著『人は語感で いい・悪いを決める』(KAWADE夢文庫)。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。

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