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海外進出「社会保険・労務管理」

2017年4月6日

Q.在籍出向中でも社会保険から抜けられる!?~日本法人から給与の支払いがなければ資格喪失が可能~

先日、社員のFさんから「将来的に日本に帰る予定はないので、社会保険から抜けたい」と相談を受けました。日本の法令に準じて社会保険に加入してもらっていますが、社員の希望どおりに社会保険から抜けることはできるのでしょうか?なお、その社員は在籍出向でシンガポールに5年ほど勤務しており、給与は日本法人から支払われています。(K社 Fさん)

 

給与が日本法人から社員に直接支払われる場合は、社会保険(健康保険、厚生年金)の資格を喪失させることはできません。ご質問のように日本に籍を置いたまま、海外の現地法人に在籍出向する場合、社会保険の加入の有無は、原則として『給与が日本法人から社員に直接支払われるかどうか』によって判断されます。そのため、日本法人から給与が支払われていれば、その法人との間に雇用関係があると判断されるので、社会保険には強制加入する必要があります。つまり、いくら本人が希望しても脱退できないわけです。

 

ただし、現地法人から給与の全額を社員に直接支払うように変更するのであれば、社会保険の資格を喪失することになります。資格喪失に伴い、保険料負担がない健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者となっている配偶者も同様に資格を失うことになるため、ご家族が引き続き日本に居住している場合、ご家族は国民年金、国民健康保険に加入することになるので注意が必要です。

 

ちなみに、年金は日本に住んでいなくても受給資格さえ満たせば受給できます。また、受給資格は平成29年9月分以降、25年から10年に大幅に短縮されます。そのため、将来の年金額を増やしたければ厚生年金保険に引き続き加入しておいた方がよいでしょう。

社労士大槻オフィスシンガポール

80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
ご相談は、Emailにてご連絡ください(担当:武田 正行)

文=社労士大槻オフィスシンガポール

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.320(2017年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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