シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP「部長と社長。社会保険料が同じ!?」

海外進出「社会保険・労務管理」

2016年12月5日

Q.「部長と社長。社会保険料が同じ!?」

シンガポールの現地法人に2年ほど前から出向している者です。先日、職場のメンバーで飲んでいた際、ふとしたことから社会保険料の話になり、その場にいた役員が「自分の厚生年金保険料は6万円近く控除されているよ」と話していたので、自分も気になり、給与明細を見てみると同じく6万円近く控除されていました。役員と私の給与はかなり差があるはずなので驚いてしまったのですが、厚生年金保険料は、給与に比例して高くなるものではないでしょうか。(Sさん)

 

会社員が加入する厚生年金。厚生年金、健康保険などの社会保険料を理解するために、とても重要になるのが『標準報酬月額』(以下、『標月』)です。知らない人が多いのですが、実は標月は、給与や将来支給される年金額までを大きく左右する大変重要なキーワードなのです。標月とは、一言でいうと、社会保険の事務処理を簡略化するために考えられた仕組みで、具体的には、給与をおよそ1万円から6万円の幅で区分した等級のことです。これは、早見表にまとめられています(日本年金機構厚生年金保険料額表 http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/0921.html)。

 

この等級は、厚生年金が8万8000円~62万円の30等級に細かく区分され、健康保険(介護保険)は5万8,000~139万円の50等級に区分されています。つまり、厚生年金だけ見ると、給与が60,5000円以上であれば標月62万円が上限となっているのです。給与が月額80万円の部長と月額200万円の社長は、120万円も差がありますが、早見表の標月はどちらも62万円なので、毎月給与から控除される厚生年金保険料も、将来の年金額への反映も同じというわけです。この標月は、原則として毎年4月から6月に日本法人から支払われる給与を基に決まります。

社労士大槻オフィスシンガポール

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文=社労士大槻オフィスシンガポール

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.315(2016年12月5日発行)」に掲載されたものです。

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