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2008年10月6日

成熟した市場に切り込み、 新興国へ販路拡大のためのビジョン

Sharp Roxy Sales Singapore Pte Ltd マネージングダイレクター 澤田和典さん

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シャープといえば、 液晶テレビ「アクオス」や、水蒸気を使ったオーブン「ヘルシオ」など斬新な技術を用いた電気製品を介してシンガポールでも広く知られるが、そのほかにも携帯電話、オーディオ、エアコン等の消費者向けの製品から、コピー機などのオフィス製品、液晶・太陽電池等の電子部品までを手がける総合電機メーカーである。中でも、 液晶テレビ「アクオス」にもみられるシャープの液晶パネル技術は、世界の最先端にあり、デジタル映像技術の進化とともにますます注目を集めている。今後の海外展開の一端を大きく担う同社シンガポールの現地法人の経営戦略を、マネージングダイレクターの澤田氏に聞いた。

 

シンガポール現地法人の戦略

今年の4月に着任したばかりの澤田氏は、1990年に7年間、ニュージャージーの米国ヘッドクオーターに勤務し、2003年から2年間はアムステルダムにてオランダを中心とするベネルクス三国の市場を管轄する販売会社の社長を務め、今回で3度目の海外駐在となる。シンガポールへの赴任はむしろ突然でした、と語るも、氏のこれまでの海外での手腕が見込まれて、今回のポジションに着いたことはいうまでもない。シンガポール現地法人のトップとして5ヵ月余りを経て、更なるマーケット拡大を目指し、あくまでも「攻め」のビジョンを語ってくれた。

 

「まずは、成熟したシンガポール島内の市場へどう切り込んで行くか、つまりシェアをどう伸ばして行くかです。我々の主要製品である液晶テレビを核として、他社と違う特徴のある製品をどんどん展開しながら島内でのプレゼンスを上げ、シャープ・ブランドの認知を高めることが必要です。また、シンガポールの貿易商社を通じて、新興国市場を中心にビジネスを拡大する事にも注力したいです。そのためには、まず国内では量販店、海外に向けては商社の方々と、より確かな人間関係の構築から取り組んで行かなければなりません。」と語る。

 

海外事業本部に身を置き、家電から複写機まで幅広い製品のマーケティング営業を経験してきた澤田氏は、一度立てた目標は必ずやり切るという、やり手営業マン生粋のスピリッツに満ちている。それぞれのマーケットの特性を引き合いに出しながら、「海外での経験があるとはいえ、商品がそろわない、価格帯が合わないなど新興国ならではの問題も起こり得ますから、今後自分の物差しに置き換えてどこまでその目標に取り組んで行けるのか、が問われるでしょう。販売会社として新興国市場を狙う以上、目標設定は前年比2ケタ成長を目指したいです。」と語った。

 

澤田氏のシンガポール在任中の抱負は、新興国の市場を拡大し、海外の販売会社として経営目標を連続達成する新記録をつくること。世界情勢は「時計の振り子のように」左右へと揺れ、好不景気に波もある中、バランス経営を保ちながらの連続達成がいかに難しいかというのは、無論承知の上で、とつけ加えた。自らに高い目標を課しながら、周囲にも立てた予算はやり切る、こだわりを持って達成するようにと常に発破をかけているという。

 

異文化のギャップを乗り越えるコミュニケーション

人種や文化の異なる背景をもつ社員を率い、果たして澤田氏と同じ思いで彼らが取り組んでくれるのか、という疑問がわく。「 会議の進め方、予算設定、計画立案や遂行の仕方にそれぞれシャープの文化がある。日本、シンガポール、アメリカの会社だから、ではなく、シャープという会社だから、こういう方針で取り組みなさいと説明します。」と澤田氏はいう。それを理解してもらうために、現地社員とも会社の経営理念、信条を十分に共有する。

 

また、「日常的には、出来ているようで不十分になりがちな日々のコミュニケーションを密に取り、目標数字の達成や広告戦略など、あらゆる面で部門毎に助け合うようなチームプレイをするように、と話します。連帯感をもつことも大切です。」とコミュニケーションの重要性を強調した。澤田氏自身も、「社内や現場で何が起っているかをタイムリーに把握することはとても大事です。裸の王様になって孤立することがあってはいけない。問題に直面したらタイムリーに解決するという姿勢が自分のモチベーションにもつながりますし、日常のコミュニケーションを通して社員にもフィードバックしていくことで、お互いに刺激を与え合えると思いますね。」と、社員とのコミュニケーションに心を砕いている。

 

日本人駐在員とは、日本の本社からのメッセージを現地仕様のメッセージに変換して伝えて行くために存在している、と語る一方で、「国際化が進み、以前に比べると本社からのメッセージも地域特性を汲んだものになってきています。つまり、いつまでも日本人駐在員が介在している事が良い訳でもないといえます。」と、澤田氏は、コミュニケーションの先にある経営者の視点で、その考察をつけ加えた。

 

「平常心」をモットーに

澤田氏は、大学卒業後シャープに勤務して24年。「我々は企業の中堅どころとして、今後は核となっていくわけですから、企業の成長に自分がどう貢献できるか、そこを良く考えて頑張りたいですね。」と語る。そんな氏の座右の銘は、公私共々に「平常心」。平常心なくして正しい適切な判断はできないという信念があるという。「何かトラブルが発生した時に、人間なら驚きなどの反応を瞬時に示すのは当たり前のことですが、その先が大事。ひと呼吸おいて、どんなことにも動じない、それを意図的に演じるだけでも自分の気持ちは落ち着いてきます。 平常心をもって叱咤するのであれば、故意に怒りを見せることがあってもいい。」と説明した。 数字を語る厳しいボスの表情の中にも人情味溢れる眼差しが感じられるのは、そんな氏の心がけの現れかもしれない。

 

シンガポールの印象について、「さまざまな民族が集まり社会を形成していますが法律や公の場での秩序が保たれていますよね。」と語る。出張がちだった赴任当初に比べ、ようやく週末に休みが取れる様になり、オーチャードやリトルインディアなど街歩きを楽しんでいるという。

 

前回の駐在の時には、海外生活の苦楽を共にして来た家族が一緒だったが、今回は、その家族を日本に残し、単身赴任の生活を送っている。中学1年生の息子さんと小学3年生の双子の娘さんとウェブカメラを介して常に近況報告をしているそうだ。距離は離れていても、家族との繋がりを励みに、澤田氏は、新たなマイル・ストーンをシンガポールに残す挑戦を始めている。

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2 Leng Kee Road Thye Hong Centre Singapore 159086

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.131(2008年10月06日発行)」に掲載されたものです。
文=桑島 千春

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