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星・見聞録

2016年10月17日

アジアで活発化する高速鉄道計画の現状

2.アジア各国における高速鉄道プロジェクトの現状

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① シンガポール~クアラルンプール
シンガポール~クアラルンプール間では、最高時速300キロで両都市を90分で結ぶ高速鉄道(HSR)の建設が計画されている。全長は350キロメートルにおよび、このうちシンガポール部分は15キロメートルで地下に建設される予定となっている。駅舎は8ヵ所で、シンガポール内に建設されるのは終点のジュロン・イーストのみ。

プロジェクトの詳細や施行業者の決定は2017年、工期は5年で、2022年に開通する見通し。建設工事には日本、中国のほか、韓国、フランス、ドイツ、スペイン企業が関心を示しているという。

今後の見通しについて「中国は、クアラルンプール郊外のバンダル・マレーシア再開発計画や、ジョホールなどの高速鉄道沿線で大型投資を行っています。コスト面からも中国が有利との論調がマレーシアでは支配的です」(林氏)との指摘もある。

 

② タイ
タイでは、首都バンコクとチェンマイを結ぶ長さ約700キロメートルの高速鉄道が計画されており、今年8月に日本の新幹線方式の導入が決まった。着工は2018年の予定。このほか、中国と共同でバンコクと東北部のナコンラチャシマとノンカイなどを経由し、中国の昆明を結ぶ計画などもある。バンコク~ノンカイ間は、建設費用をめぐり両国で合意に至らず遅延する見通しとなっている。バンコクとラヨンを結ぶ計画もある。

 

③ インドネシア
インドネシア政府は2015年7月、ジャカルタと西ジャワ州の150キロメートルを結ぶ高速鉄道を建設する計画を発表。工事の受注をめぐり日本と中国企業が争っていたが、インドネシアの政権交代に伴い9月に一旦計画が中止となり、その後2015年10月に中国企業が工事を受注することが決まった。現在のところ開業は2019年の予定。東部スラバヤに延伸する計画もある。

 

④ インド
インド政府は今年、ムンバイからアーメダバードの約500キロメートルを結ぶ高速鉄道計画に日本の新幹線を導入することを決定。高速鉄道計画は同国にとって初となり、着工は2017年、開業は2023年を予定している。このほかインドでは、中南部のハイデラバードから東部のチェンナイを結ぶ路線や、デリーから東西を結ぶ路線など、複数の計画がある。

 

その他
ベトナムでは、首都ハノイとホーチミンを結ぶ全長1,600キロメートルの高速鉄道計画が2006年に持ち上がったものの、建設コストの問題から2013年に一度中止となった。その後2015年に、15年におよぶ開発計画が政府によって策定されている。
このほかマレーシアとタイの両国政府は2016年9月9日、クアラルンプールとバンコクを繋ぐ高速鉄道の建設について調査することで合意。さらにクアラルンプール〜シンガポールを結ぶ高速鉄道との接続も検討されている。

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