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シンガポール星層解明

2016年7月5日

パナマ文書公開で国際的に課税強化 シンガポールの日本人富裕層への影響は? 解説:AGSシンガポール 税理士有資格者 鈴木寛氏

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「パナマ文書」流出、シンガポール当局も調査を開始 (2016年4月6日)
https://www.asiax.biz/news/37293/

「パナマ文書」漏えいにからみMASが声明、「シンガポールはクリーン」(2016年4月12日)
https://www.asiax.biz/news/37343/

今年4月からまたたく間に世界に広がった、世界の企業・個人による租税回避地利用の実態が書かれた「パナマ文書」に関する一連の報道。いまだにその影響は続いており、主要先進国を含むG20や経済開発協力機構(OECD)は、国際的な租税回避を防ぐ計画をまとめている。富裕層への情報開示とさらなる課税を求める動きは強化されるばかりだ。このような状況の中、シンガポールにおける日本人富裕層とそれを取り巻く租税環境はどうなっているのだろうか。

 

日本の富裕層とシンガポール移住について

シンガポールに住む日本人は、外務省の統計では2015年10月時点で約3万7,000人。大半は駐在員とその家族だが、移住した富裕層も相当数含まれると推測される。

 

シンガポールの魅力のひとつは、低い税率だ。シンガポールは最高税率で、法人税17%、個人所得税22%と国際的にみて低税率国であり、相続税は2008年に廃止された。独立後に生き残りをかけて外資・富裕層の誘致を進めたシンガポールにおいて、優遇税制を含む低税率の政策は、国造りに大きな役割を果たしたといえるだろう。

 

一方日本は、個人所得税(住民税含む)、相続税、贈与税の最高税率が55%、法人における実効税率も約30%と、世界でも税率の高い国のひとつだ。近年、法人税率については、世界水準に合わせようと引き下げを行っており、これを補てんするため富裕層をターゲットに課税が強化されている。このような流れから、シンガポールが富裕層の移住先として選ばれるのである。

 

しかし日本でも、富裕層の海外移住に一定の歯止めをかけようと、昨年2015年7月1日より、国外転出時課税、いわゆる「出国税」という税制が施行された。出国税とは、金融資産を1億円以上有する富裕層が海外に移住する際、その金融資産の含み益に対して15%が課税される制度だ。株式などを売却、現金化する前に課税されるため、富裕層が移住をためらう大きなハードルとなっている。

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