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スペシャルインタビュー

2014年12月19日

今も続く「夢への挑戦」 東京オリンピック・パラリンピック、柔道界改革、国際交流に取り組む原動力とは

柔道家、東海大学副学長・体育学部教授山下 泰裕

1984年ロサンゼルス五輪金メダリストの柔道家で、東海大学副学長を務める山下泰裕氏の講演会「夢への挑戦」が11月29日、東海大学同窓会シンガポール支部の招きで開かれた。講演会で幼少期の思い出から、五輪、現在取り組む国際交流活動まで多岐にわたるエピソードを語った山下氏に、話を伺った。

―講演のテーマを「夢」にされた理由は?

子供たちが夢を持つには?という質問をよく受けるんです。確かに、夢を持ちづらい時代になったと感じています。でもスポーツには、子供の夢や、思いやり、友情、折れない心を育む力があると思うんです。今の日本は勝敗を大事にしすぎます。今の若い人たちにとってスポーツは「苦しいもの」というイメージでしょう。しかし、スポーツで生まれる仲間との絆、体を動かすこと、これは勝ち負け以上の価値があります。スポーツをもっと身近にしていくこと、これが、私が進めていかなければならないことだと思っているんです。

―昨年から、日本オリンピック委員会(JOC)の理事も務められています。1964年の東京オリンピック・パラリンピックの思い出はありますか?

当時、小学校1年生でした。毎日学校が終わると日が暮れるまで外で遊んでいたのですが、期間中だけは、テレビにかじりついて試合を見ていましたね。重量挙げで金メダル第1号になった三宅(義信)選手や、東洋の魔女と呼ばれた女子バレーボール、マラソンの円谷(幸吉)選手。彼らの活躍が心に残って、子供ながらにこめかみがジーンとした記憶が今でも残っていますね。

―現在は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを作り上げる立場ですが、どんな大会になってほしいと思いますか?

まず1つは、世界から多数の人々を招くことになります。日本の本当の姿を知ってもらいたい。次に、東日本大震災の時には世界の色々な国に心配をしてもらった。日本が力強く復興した姿を見せられるようにしていかないといけないと思います。さらに、子供も大人も、心の健康は大きな課題。スポーツを通じて、皆が生き生きと、自分らしく生きる社会を目指すこと。そのために、これほどのチャンスを逃す手はないと思います。開催から10年、30年先にこの大会が大きな遺産になるように。日本の若者や国民に、夢と感動、希望を与える大会にしていかなければいけないと思います。

 

―一方、様々な問題が噴出した全日本柔道連盟でも、改革に取り組んでおられます。

暴力、セクハラ、補助金の不正受給。残念なことにいろいろな問題がありました。問題が出てから、私のところに全国の現場の指導者たちから様々な悲痛な声が届いたんです。例えば、「今の状況は、胸を張って『柔道やってます』なんてとても言えない状況です」とか。当時の会長のところに出向いて「暴力の根絶プロジェクト」を立ち上げ、私をリーダーにしてくれと頼みました。その後、暴力は許さないという強い意志を示すため、ポスターをあらゆる道場に貼ったり、様々な啓発活動に取り組んだりしてきました。今では、道場での暴力行為はなくなったと考えています。その後、もっと人づくりにシフトしようと、発足したのが現在行っている「MINDプロジェクト」です。柔道人として恥じない行動をしていこうと呼びかけています。

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