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法律相談

2009年6月15日

Q.シンガポールでは集会結社の自由がないと聞いておりますが、有志による定期的な講演会企画などについても運営団体としての認定を受けなければならないのでしょうか。また、法律上はどのような定義をもって「団体」「クラブ組織」と見なされるのでしょうか。会費を徴収する際に認定団体でなければ領収書を発行することができない、などの制約事項がありましたら教えてください。

シンガポールにおける団体活動について

シンガポールには、結社法(Societies Act)という法律があり、政府に登録されていない団体は、(1)完全にシンガポール国外で組織され、かつ(2)シンガポールにおいていかなる活動もしていない団体に該当する場合を除き、原則として不法なものであるとしています。これに違反して不法な団体の管理や補助をした者は5年以下の懲役に科せられる可能性があり、不法な団体のメンバーとして行動したり集会に参加した者は5,000ドル以下の罰金と3年以下の懲役のいずれかまたは双方を科せられる可能性があります。

 

なお、この法律における「団体」とは、その性質や目的に関わらず、10人以上で組織されるあらゆるクラブ、会社、パートナーシップ、協会を指しますが、例外として、以下の組織・団体は同法上の「団体」から除外されます。

 

  1. シンガポールにおいて会社に関する制定法の下で登録されている会社
  2. 他の制定法により規定されている会社または団体
  3. 有限責任パートナーシップ法に基づき登録されている有限責任パートナーシップ
  4. シンガポールにおいて労働組合に関する制定法により登録されているまたは登録されることが要求されている労働組合
  5. 制定法により登録されているあらゆる協同組合
  6. シンガポールにおいて相互共済団体に関する制定法に基づき登録されている相互共済団体
  7. 20人以下で構成される会社、団体またはパートナーシップで、利益の獲得を目的とする合法的なビジネスを行うことを唯一の目的として組織されたもの
  8. 保険法Part IIAに基づき設定された外国保険スキームの下でシンガポールにおいて保険事業を営む外国保険団体
  9. シンガポールにおいて学校を規律する法律の下で組織された学校または学校の経営委員会。

 

上記を要約すると、他の法律等で規制されているような団体を除けば、10人以上で組織される団体は、その性質や目的に関わらず、ほとんど全てがこの結社法(Societies Act)により規制され、政府に登録することが義務付けられることになります。これに反することは犯罪となります。

 

質問の事案のように、定期的に講演会企画などを行うような活動をする場合でも、その有志団体が10人以上で組織されるものであれば、結社法の規制に服することになると思われます。

 

会費を徴収する場合ですが、団体が登録されることを前提とすると、法律上登録された団体名で領収証を発行することになります。登録が必要でない団体(人数が10人未満)の場合、団体名はどこにも登録されていない任意的なもの(自分達で名乗っているだけということです)になりますので、通常は代表者の名前で領収証を発行することになります(または代表者名の上に団体名を付することもありえますが、あくまで肩書き程度の意味しか持ちません)。

 

なお、団体の登録は、ウェブサイトから行うことができます。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 外海 周二

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.147(2009年06月15日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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