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法律相談

2009年8月17日

Q.シンガポールは犯罪に関してとても厳しい国だと聞きました。具体的にどのようなところが日本と違うのでしょうか。

シンガポールで犯罪になる行為について

シンガポールでは、日常生活においてついうっかり行ってしまいがちな行動が、思わぬところで犯罪になってしまうことがあります。環境衛生法(Environmental Public Health Act)では、日常生活で行ってはならない迷惑行為(Nuisance)を定めています。迷惑行為の種類は実に多岐にわたっており、ハエや蚊を発生させないことというのは有名な話で聞いたことのある方もいらっしゃると思います。その他にも、人の迷惑になったり健康に有害なまたは危険な状態をもたらすような建物の保持、動物の飼育や、人の迷惑になるような騒音や振動を起こすことも含まれます。これらに違反すると、政府からこれを改善するよう命令が出たり、場合によってはそのような迷惑行為が生じている住宅での居住を禁じられることもあります。

 

環境衛生法は他にも、ゴミなどを公共の場所で捨てること、唾や鼻水を道路や公共の場所に吐き出すこと、公共の場所で食べ物等を干すこと、灰や砂、紙くず等が公共の場所まで風に飛ばされるような方法で掃いたりかき混ぜたりすることを禁じています。

 

それ以外には、その他の違法行為に関する法律(Miscellaneous Offences (Public Order and Nuisance) Act)という法律があり、例えば公道で動物を洗ったりすること、公道に石やレンガ等を置いて交通を妨害すること、車両から落ちた物体を放置すること、凧を飛ばすなどして公道における交通を妨害すること、公道上または公道に沿った路面から2.5メートル未満に一部がかかるような目隠し、日除けなどを設置することなど、様々な行為が禁止されており、違反した場合には罰金が科せられる可能性があります。また、非常用電話番号に電話をして応答者に嫌がらせをした場合に罰金または懲役刑が科されるといった規定もあります。

 

シンガポールはまた、国内への物品の持ち込みについて、他の国よりも比較的厳しい規制がありますので、海外からシンガポールに入国する際に注意すべき点がいくつかあります。

 

まず、他の国にはあまりない珍しい規制として、チューインガムの規制があります。チューインガムを噛んではいけないという規制自体はありませんが、薬事法(Medicines Act)により認められた場合を除き、原則としてチューインガムの輸入は禁止され、国内での販売や販売広告も禁じられています。これらに違反すると、罰金などの罰則もありますので、特に海外からシンガポールに入国する際に、うっかりバッグの中にチューインガムを入れていたということのないように気をつけたいものです。

さらに、シンガポールは、麻薬犯罪に関して日本とは比べ物にならないほど厳しい規制を敷いています。コカインの成分が30グラムを超える薬物、500グラムを超える大麻等、一定量を超える薬物の持ち込みに対しては、死刑が課せられます。麻薬を意図的に持ち込もうと思われている方はそういないと思いますが、気をつけなければならないのは、他人に荷物を預かって欲しいと言われて知らない間に麻薬を運ばされるケースです。こうしたケースはシンガポールに限らず見られますが、うっかり引き受けた結果、荷物の中から麻薬が発見されてしまうと、自分のものではないと証明することは難しく、厳しい処罰を受けるおそれがあります。信頼できる人以外から荷物の運搬を頼まれても、安易に引き受けない方がよいと思います。

 

持ち込みに関しては、タバコの取り扱いにも注意が必要です。シンガポールでは、タバコに関しては酒類と異なり免税措置が一切ありません。したがって、たとえ少量であっても、タバコを持ってシンガポールに入国する際には、税関できちんと申告しないと、罰金が課せられる可能性があります。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 外海 周二

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.151(2009年08月17日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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