2007年6月18日
Q.2007年7月1日から商品サービス税(GST)の税率が7%になりますが、税率の変更に関して注意しなければならない点について教えてください。
GSTの税率が7%に
GSTの標準税率は現在5%ですが、今年度予算案で発表された通り、2007年7月1日より7%に引き上げられます。
GSTに登録する課税事業者が税率変更時に特に注意しなければならないのは、2007年7月1日を前後する取引について「商品又はサービスの供給時期」を正しく判断し、5%又は7%の何れかの税率を正しく適用するという点です。
GSTの原則では、商品又はサービスの供給時期は、以下の3つの事象のうち、何れかが最も早く発生した時期であると定められています。
- 商品又はサービスが供給された日
- 請求書が発行された日
- 支払いが為された日
但し、最初に商品又はサービスの供給が発生し、それから14日以内に請求書が発行された場合には、請求書日をもって商品又はサービスの供給時期と見なされます(14日ルール)。
税率変更時には、供給時期について以下のような特例が適用されます。
- 請求書が7月1日又はそれ以後、かつ商品又はサービスの供給日から14日以内に発行された場合
- この場合、原則では、上述の14日ルールに従って請求書日が商品又はサービスの供給時期とされ、7%の税率が適用されるはずですが、商品又はサービスが6月30日までに供給されていれば、5%の税率を適用してもよいことになっています。
但し、商品又はサービスが6月30日までに供給されたことを証明できるように、証拠となる文書(納品書等)をきちんと保管しておかなければなりません。又、商品又はサービスの一部のみが6月30日までに供給された場合には、その一部について5%の税率で課税し、残りの部分については7%の税率で課税することになります。
- 請求書が6月30日までに発行され、商品又はサービスの供給及び支払いが7月1日以後に為された場合
- この場合、原則では、請求書が発行された日が供給時期とされ、5%の税率が適用されるはずですが、請求書だけでなく、商品又はサービスの供給あるいは支払いの何れかが6月30日までに為されていなければ、5%の税率を適用することはできません。
商品又はサービスの供給及び支払いの両方が7月1日以後に為された場合には、7月14日までにクレジットノートを発行して請求書を一旦キャンセルし、改めて7%の税率による請求書を発行しなければなりません。商品又はサービスの供給の一部あるいは支払いの一部が6月30日までに為された場合にも、6月30日までに完了していない供給又は支払いの部分について同様にクレジットノートを発行し、7%の税率による新しい請求書を発行します。
その他の注意事項
GST税率変更の準備に関して、以下のようなことができているか確認しましょう。
- 新税率に対応できるように会計システム、請求書発行システム、POSシステム等の設定変更を行う
- 新税率による税込価格表示ができるように、新しい価格表示を用意する
- 正しい税率を適用して顧客に請求できるように従業員を教育する
- 各種契約書を見直し、GST増税額の負担者が契約書に明確に規定されているかどうかを確認する
- 顧客にGSTの税率変更について事前に通知する
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.100(2007年06月18日発行)」に掲載されたものです。
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。