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会計・税務相談

2007年4月16日

Q.シンガポールの予算案で発表された税制改正の概要について教えてください。

2007年度シンガポール税制改正

  1. 法人税率引き下げ及び法人所得の減免税
  2. 現行の法人税率は20%ですが、2008賦課年度より18%に引き下げられます。これにより、シンガポールの法人税率は、アジアでは香港の17.5%とほぼ肩を並べ、世界的に見ても低税率国の一つとして更に競争力を高めることになるでしょう。
    更に、法人の課税所得のうち最初のS$10,000の75%及び次のS$90,000の50%を免税とする制度が導入されていますが、免税が適用される課税所得の上限がS$300,000まで引き上げられ、2008賦課年度より最初のS$10,000の75%及び次のS$290,000の50%が免税となります。財務副大臣の話では、この結果、シンガポールの法人のほぼ8割について実効税率が10%以下になるそうです。
    又、シンガポールにおける起業を支援するために、新規設立の会社について、営業開始から3賦課年度に亘り、最初のS$100,000の課税所得の100%を免税とする制度が2005賦課年度より5年間の時限立法として導入されていますが、これを恒久的措置に切り替えることが発表されました。この制度は、シンガポールで設立され、株主が20名以下の個人のみである居住法人に適用されます。
  3. GST税率引き上げ
  4. GSTの標準税率は、2007年7月1日より5%から7%に引き上げられます。これは、前述の法人税率引き下げ等による税収減を補う措置として導入されます。
    GSTの年間課税供給高がS$1百万未満の事業者は登録義務が免除されていますが、登録しない場合には事業の過程で支払ったGSTについて全額費用処理しなければなりません。政府は、これら中小の事業者の負担を軽減するために、要件を満たす事業者が2007年3月1日から2009年3月31日までの期間にGSTに任意登録した場合には、登録に掛かる諸費用についてS$5,000を限度とする補助金を支給する政策を打ち出しました。補助金の対象となる費用には、会計ソフトやハードウェアの購入費用、ITコンサルタントによる顧問料や研修料、インターネット接続料等が含まれます。
  5. 中央積立基金(CPF)雇用主負担拠出率の引き上げ
  6. 現行のCPFへの拠出率は、従業員20%、雇用主13%ですが、2007年7月1日より雇用主負担拠出率が14.5%に引き上げられます。これによる中小企業の負担を軽減するために、要件を満たす中小企業について申請に基づき2007年7月1日から2009年6月30日までの2年間に納付した拠出金の一部を払い戻す制度が導入されます。払い戻しの金額は、1年目は拠出金額の最初のS$40,000の2%及び次のS$40,000の1%、2年目は最初のS$40,000の1%及び次のS$40,000の0.5%とされています。
  7. その他

 

借入費用の損金算入

 

資産を取得するための借入金にかかる支払利息以外の費用についても、利息の代わり又は利息を減らすために発生した費用である場合には損金算入が認められます。

 

所定の車輌に関する加速償却

 

1991年1月1日以後に登録された商用運搬車及びバスをユーロIV排気基準を満たす車輌に買い換えた場合、1年の加速償却が認められます(2007年2月15日から2012年2月14日まで)。

 

知的財産取得に関する税務上の減価償却

 

知的財産の取得に関する資本的支出に税務上の減価償却を認める措置について5年間延長され、2013年10月31日までとされます。

投資所得控除制度

 

設備の割賦購入に対する投資所得控除の適用対象期間(当該期間内に発生した資本的支出について投資所得控除が認められる)について、5年間から8年間に延長されます。

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.096(2007年04月16日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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