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会計・税務相談

2004年12月13日

Q.シンガポール国籍又は永住権を有しない外国人がシンガポールで会社を設立する場合に、どのような手続きが必要ですか。

外国人による会社設立

個人の会社設立手続きについては法律相談でも取り上げましたので重複する部分もありますが、今回は起業支援に関して最近導入された政策に触れながら回答いたします。

 

シンガポール政府は、活発な起業が経済の活性化につながるとの判断から、会社経営に関する費用及び法定遵守の負担を軽減するための様々な政策を導入しています。

 

会社の設立については、個人事業との違いを明確にするために、これまで2名以上の株主及び2名以上の取締役が要求されていましたが、会社法の改正により最低1名の株主及び取締役で会社が設立できるようになり、起業家本人が株主兼取締役になることにより、会社を設立することができるようになりました。但し、取締役のうち最低1名はシンガポール居住者(エンプロイメントパス等のビザを有する外国人を含む)でなければなりません。ビザを取得していない外国人がシンガポールで起業する場合には、アントレパス(EntrePass)という起業家のためのビザを申請することができます。また、起業家本人がシンガポール国外に居住して会社を経営する場合には、シンガポール居住者の名義貸人を取締役に任命することにより、居住取締役の問題を解決することができます。名義貸人は、会計事務所等で紹介してくれます。

 

税務上においても、新規設立会社の費用を軽減するための政策が導入されています。現在、法人の課税所得のうち最初の10万Sドルについて、最初の1万Sドルの75%及び次の9万Sドルの50%が免税とされていますが、会社が設立されてから最初の3賦課年度が2005賦課年度から2009賦課年度に該当する場合、以下の3つの要件を全て満たす会社については、該当する賦課年度について課税所得のうち最初の10万Sドルについて全額免税とされます。

 

  1. シンガポールで設立された会社であること
  2. 当該賦課年度について税務上の居住法人であること
  3. 課税の対象となる基準年度について株主が常時20名以下の個人のみで構成されていること

 

尚、シンガポール通産省の機関である経済開発局(EDB)は、規模の大小を問わず起業に関する様々な支援を提供しており、外国人にもその門戸が開かれています。将来性の高い事業を計画されている場合には、これらの政府機関に相談することにより、融資や技術支援、相談相手の紹介といった様々な支援を受けられる可能性があります。

 

会社設立のための具体的な手続きを進めるには、種々の法定文書の作成等が必要になりますが、会計事務所や法律事務所がこれらのサービスを提供していますので、利用されるとよいでしょう。

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.024(2004年12月13日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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