シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPキャピタルアローワンスについて教えてください。

会計・税務相談

2004年11月15日

Q.キャピタルアローワンスについて教えてください。

キャピタルアローワンス

シンガポールでは、固定資産の取得費用は資本取引であるため、原則として税務上損金不参入とされています。但し、政府が奨励する事業等への設備投資に対する一種の税務上の優遇措置として、特定の資本支出について「キャピタルアローワンス」と称する所得控除が認められています。キャピタルアローワンスは、産業用建物、設備・機械、知的財産等に認められており、一般の商業用建物や個人名義登録の乗用車には認められていません。

 

キャピタルアローワンスは、資本支出の種類ごとに定められた償却率により償却されます。産業用建物及び設備・機械の償却には、取得年度についてのみ認められる取得時償却と、当該資産が事業に使用されていることを要件に毎年認められる年次償却があり、取得年度については他の年度よりも多くの金額を償却できるようになっています。また、特定の設備・機械については加速償却が認められており、加速償却を選択した場合には、1年または3年で定額償却することができます。

 

キャピタルアローワンスを控除した資産を売却する場合には、税務上の残存価額と売却価額との差額について調整がなされます。売却価額が税務上の残存価額よりも低い場合には、バランシングアローワンスとして差額について控除されます。逆に、売却価額が税務上の残存価額よりも高い場合には、「バランシングチャージ」として差額について課税されます。

 

キャピタルアローワンスを所得から控除しきれない場合には、未控除キャピタルアローワンスとして繰り越し、将来の利益と相殺することができます。

 

また、シンガポールには日本のような少額固定資産についての損金参入規定はありませんが、税務申告手続きをより簡素化するために、キャピタルアローワンスの対象となる設備・機械について、以下の要件を満たす場合には、取得年度における100%償却が新たに認められることとなりました。

 

a) 資産の単価がS$1,000以下であること、かつ

b) 100%償却する少額固定資産の償却合計額が一賦課年度につきS$30,000以下であること

上述の少額固定資産の100%償却は、2005賦課年度の対象となる基準年度中、またはそれ以降に取得された設備・機械について適用されます。

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.020(2004年11月15日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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