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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2012年11月5日

仕事は『3』の原則で選択と集中を

最近改めて経営は「選択と集中」であるとつくづく感じます。私が経営に参画させていただいている会社はベンチャー企業が多いせいもあるかもしれませんが、どうしても

  • 「これをやったら儲かるんじゃないか」
  • 「こうやったらおもしろいんじゃないか」
  • 「こうしたらお客様の役に立てるんじゃないか」

と、あれもやりたい、これもやりたいと、いろいろなことに手を出したり考えたりする傾向があります。

 

 

私も経営者としてわからなくもありませんが、経営資源(人・物・金・情報・時間)に乏しい中小企業、または体力的に弱っている大企業だからこそ、今ある経営資源をいかに大切なことに集中できるかどうかですから、そこは「何をしないか」を決める勇気に尽きます。

 

 

四六時中ひとつのことを集中して考えている人と、10個のことに能力を分散して考えている人では、その物事に対するアンテナが変わってくるので、情報を受け取る能力が変わってきます。

 

 

1年間に集中して200回ゴルフをやる人と、1年で10回、20年間で同じ200回やる人とではどちらが上手になると思いますか?虫眼鏡のように一点集中で太陽の光を集めるからこそ、紙を燃やすことができるわけです。

 

 

そうは言ってもビジネスなので、たった一つのことをやればいいというように上手くはいかないのが現実です。そこで私がよく使うのは、『3の原則』という考え方です。実はこれには何の根拠もないのですが、例えば色は全て元をたどれば3つの原色から成り立っているとか、信号も3つの色から成り立っているとか、サンフェレッチェといわれるように3本だと折れにくいであるとか、何か表彰される時は金、銀、銅、1位、2位、3位など、世の中見回してみると3つの事柄から成り立っていることが非常に多いことに気付きます。皆さんもぜひ周りを見回してみてください。

 

 

要するに、会社でいっぺんに進める事業は3つまで、1人の従業員がいっぺんに進める仕事も3つまで、1人の人間が同時に進めるプロジェクトは3つまでというように、何とか3つに絞って取り組むと、集中と選択ということが、どうにか成り立っているという感覚値があります。実際私の関係会社には、何事も3つに絞り、残りは勇気を持って今は捨てていただき、実績が上がっています。

  • 「忙しくて時間がない」
  • 「やることが多すぎてどうしていいか困っている」
  • 「いろいろなことをやり過ぎて力の分散につながっている気がする」

そんな方がいらしたら、勇気をもって切り捨て、3つに絞って試してみてください。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.223(2012年11月05日発行)」に掲載されたものです。

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