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ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2014年9月1日

技術をお金に変える法〈第2回〉発見力を鍛える『アイディア発想法』

1.アイディア発想に必要な『外化』とは?

ビジネス創出に欠かせない『発見力』。その中でも、『関連付ける力』は最も重要ですが、その前に、まず自分の発想を表現する作業が必要です。アイディアの源泉は書くことから始まるのです。

 

書くこと、アウトプットは脳認知学では『外化』と言われます。頭の中に無数にある脈絡のない考えを、一度、外部に吐き出す作業です。単語や文章だけでなく、図やイラストでも構いません。主観的でバラバラだった考えが、“外化”することで客観視できるようになります。高い視点から俯瞰することで、アイディアを結合したり、削除したり、まるで第3者的な作業が可能になります。この第3者的な淡々とした作業こそが、先入観なく、意外なアイディアを発見する原動力になるのです。これは、自分の中に眠っていたアイディアの『見える化』作業になります。
このように人間の考えは、「見える化」されて初めて、アイディアに昇華されていきます。その外化の際に活躍するものが、質問の力です。

 

2.質問筋力を鍛える

ピーター・ドラッカー曰く「正しい答えを見つけるよりも正しい質問を探すことが重要」とあるように、自問自答するトレーニングは、アイディア発想においても必要不可欠です。質問の本質は問い質すことではなく、探究することです。では、質問筋力を鍛えるワークをしてみましょう。

 

  1. 自分が抱えている課題・問題点を平叙文で書き出してみる。
    例)「画期的な商品企画のアイディアが出てこない。」
  2. 単純に疑問文に置き換える。
    例)「なぜ、画期的な商品企画のアイディアが出てこないのか?」
  3. 探究的な肯定疑問文に変化させる。
    例)「どうしたら、世界一画期的な商品企画のアイディアが出てくるようになるのか?」

 

「なぜ、出来ないんだ?」と問い詰める前に、「何が、解決を妨げているのか?」と質問を変化させると、人間の視点もガラリと変わります。今、どうなのか? 何が、違うのか? どうしたら、こうなったのか? もし、〜だったら、どうなのか? というような探究的な質問のみで行う『質問ストーミング』は会議でも有効な方法です。質問の仕方を変えれば世界を変えることができます。是非一度、お試しあれ!

 

3.五感力を高める

考えるだけでなく、五感すべてを使って物事を観察し外化してみる。六感は五感を使い切って初めて働き始めるもの。これは私の持論です。目に見えるもの聞こえるものは、たったの4%です。実際に五感で認知できないものを感じる力は、発想力の強力な助っ人になります。だからこそ、外化し表現することが重要なのです。
目の前の風景を五感を使って表現してみて下さい。本質が見えるようになり、隠れた属性が浮き彫りにされます。その時点で、初めて類推する力が作用し、異分野を関連づける力が発揮されるようになっていくのです。

 

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最後に、穴埋めクイズに挑戦してみて下さい。(ヒント:アルファベットの文字の並ぶ順番)解答は次回をお楽しみに! 次回は、いよいよ『関連づける力』に入っていきます。

 

shimokawa下川 眞季(しもかわ まさき)

株式会社ダヴィンチ・ブレインズ代表取締役・技術士(経営工学)
慶応大学大学院修了後、1982年にソニーに入社。デジカメの電子シャッター特許で全国発明表彰受賞。社内で最高位の特級特許表彰も2度受賞。技術をお金に変える方法や、アイディア発想法を伝授すべく、全国の商工会議所などで講演活動を行っている。

ウェブサイト:shimokawa-kikue.com

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.264(2014年09月01日発行)」に掲載されたものです。

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