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ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2014年9月15日

感性トレンド編〈第2回〉時代の転換点と少ない選択肢が好ましい時代

「この先、どうなるの?」というのは、経営者でなくても気になるところだと思います。何かを計画するときには、必ずそれが実現した時の未来のことを考えるからです。

 

さて、では、未来予測は可能なのでしょうか?
もし、未来が予測できたら、あなたの仕事や、生き方は変わるでしょうか?

 

ちょっと古い話になりますが、昨年の忘年会でのこと。ある落語家さんが、ちょっと恥ずかしそうに「来年の予測で、仕事とは関係ないんですけど」と前置きして、お尋ね下さいました。「ミニスカートって、これから流行るんでしょうか?」と。これは、なかなか鋭いご質問で、世の中をよく観察されているのか、単に男性性のなせる業か、実に感性の変化を感じていらっしゃると感心してしまいました。それで、その答えは、「そろそろ流行り始めますよ」です。

 

なぜ「ミニスカートが流行る」と言えたのかといいますと、過去の事象からの予測でした。人の感性は56年周期で変化するということを前回お伝えしましたが、このミニスカートも、56年周期が当てはまれば、そろそろ出てくる頃だったのです。
デザイナーのマリー・クワントが、ロンドンの学生の集まる街で流行り始めた丈の短いスカートを、1958年頃から、『ミニスカート』と名付けて売り出し大ヒットしています。このように56年前のことを知ると、現在のものを考えるうえでヒントとなります。ただ、56年前と全く同じものが繰り返すわけではないので、傾向や、方向性を見るのに使ってください。そのうえで現代的な味付けが必要になります。

 

では、56年前がないものはどう予測するか?ここで、56年周期上にある14年ごとの4つの転換点と、その点から点までの4つの期間=4つの時代をお話しします。この4つの時代に、人がどんな気分になるかを知ることは、未来予測の助けになります。時代の転換点は、世の中で流行っているものが変わったと感じられる頃です。したがって、だれよりも先に変化するような変化の始まりは、この転換点の3年くらい前になります。そして、転換点の3年後くらいになると、変化が定着して新しい感じは減ってきます。

 

直近の時代の転換点は、2013年でした。日本では株価が上がり、経済の動きに関心が高まりました。飲料は、すっきりした方向の新製品が出て、カメラの色のバリエーションが減りました。2013年からの14年間は、複雑なものに好感度が高い時代なのですが、1999年から2012年は、どんどん複雑にしたい気分で、2013年から2026年は、複雑になりすぎたものをどんどん単純にしたい気分になります。
誰もが特別なオンリーワンから、この分野ではAさんがNo.1というように、客観的に1番を決めたい気分が出てきます。この気分が本格化するのは、2027年からですが、すでにその方向へ動き始めたのが、2013年です。この時代は、たくさんの選択肢より、少なくて厳選された選択肢が好ましくなります。

 

さあ、あなたの商品やサービスは、選択肢を絞り始めていますか?たくさんの商品をお持ちの方は、お客様が迷わないようにお勧めを提案してくださいね。

 

tedzuka手塚 祐基(てづか ゆき)

株式会社感性リサーチ研究員、倉敷芸術科学大学芸術学部非常勤講師
21年間の腕時計デザイナーを経て、2006年より感性研究を開始。現在、ネーミングコンサルティングや企業向け講演活動を行う。筑波大学、工学院大学、東京大学大学院情報学環などのゲスト講師も務める。共著『人は語感でいい・悪いを決める』KAWADE夢文庫

ウェブサイト:ameblo.jp/tetsuka-kansei/

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.265(2014年09月15日発行)」に掲載されたものです。

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