2010年6月21日
エンターテイメント産業に直結。デザイナー育成の現場「FZD」
スターウォーズIII、ターミネーター、ニンジャタートルなど、ハリウッドを代表するSFX映画はもとより、数々のビデオゲームのビジュアルやコンセプトデザインを手がけたフェン・ズー(Feng Zhu)さんが、エンターテイメント産業におけるデザインを自ら教えるのが2009年7月に開設したばかりのFZDスクールオブデザイン(FZD)。今年6月に初めての修了生を輩出したばかりだが、彼らの完成度の高い作品はもとより、それぞれ国内外の著名なビデオゲーム会社や関連メーカーなどへの就職を決め、話題となっている。エンターテイメント・デザインという、今後も需要が見込める収益性の高い産業と直結した分野ながら、一流のデザイナーとして認められている人材は、世界的に見ても決して多くない。ハリウッドでも通用するデザイナーを育てるというアジア初のデザインスクール、FZDを紹介する。
クリエイティブ産業の促進に一役
クリエイティブ産業の東南アジアのハブを目指すシンガポールは、各種美術学校、デザインスクールなどの教育面に力を入れてきた。認知度が上がる等、一定の成果はあるものの、今後は、世界に通用するプロの育成がシンガポールの目標であり、FZDが目指すところでもある。
FZDのエンターテイメント・デザイン学科は、フルタイムのディプロマコースで1年間、「世界に通用する経験と実力をもつ指導者から、ハンズオンで実践に即したトレーニング」を受ける。また、「我々は、講師というよりもアートディレクターであり、生徒をジュニアデザイナーと位置付けています。彼らは、在学中に実際製品化されるプロジェクトに少なくとも2、3件は関わり、即戦力として自分を証明できるプロファイルを持って卒業します」とフェンさんは説明した。
FZDをシンガポールに開校した理由は、やはり政府からの強力なサポート体制と意欲にあった。当初ゲームデザインの会社設立を考えたが、ローカル市場に十分な能力のあるデザイナーがいないことのリスクは大きいと判断、アメリカの著名デザインスクールで指導した経験を活かしてデザインスクールを開校することにしたという。