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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年11月16日

オフィスを借り替える(その2)

TgPagarCentre_reオフィスの転居を検討・実行される日系企業様が増えています。今まで経済環境や本社の業況などで我慢していたが、海外市場へ軸足を移すのにともないオフィスも戦略的に移転・拡充したいという思いがその背景にあります。オフィス移転に際して留意すべき諸点を前回(AsiaX10月19日号掲載)に引き続き、取りまとめてみました。

 

4.優先順位をつけて選考する
家賃(予算)、面積、ロケーション(通勤の便、飲食の便利さ、顧客へのアクセス)、築年数、外観デザイン、ロビーの印象、向き(日照、眺望)、窓(防音・防水性能)、セキュリティー・レベル、防火設備(スプリンクラー有無)、低層か高層か、OAフロア、通信設備環境、空調設備状況、エレベーター、トイレ、車寄せ有無、駐車場、周辺地区工事、家主プロフィール(個人、法人、投資ファンド、REIT) 等々、 様々な要素が考えられますが、希望条件を100%満たす完璧物件を見つけることは不可能です。家賃と築年数などはトレードオフの関係にあります。移転の主目的を達成するため、必要条件に優先順位をつけて、評価・選択しましょう。

 

5.第2候補、第3候補も選ぶ
「あとにも先にもこの物件しか無い」といった選択方法では、契約交渉が極めて困難となります。第1候補を口説き落すためにも、必ず第2候補・第3候補を予め選んでおきましょう。

 

6.市場動向を踏まえて交渉する
シンガポールの総オフィス面積は現在 758万平米。空室率は9.6%です。2016年後半に大型オフィスビルが相次いで竣工し、新たに48万平米のオフィスが供給される見込みです。過去5年間の年間平均需要増は、14万平米なので、賃貸相場の重し(下げ要因)になっています。

 

かたや海外からの投資増などもあり、オフィスの売買や再開発も、高水準になると見込まれ、これは既存物件の取壊しによる供給減につながるため、賃貸相場の上げ要因となります。全般的な経済状況も含め、2016~17年は、上げ・下げ両要因の綱引きになると思われます。

 

7.政府機関等の郊外移転
CPF(中央年金局)のノビナ・スクエア移転に伴い Robinson RoadのCPFビルが売りに出されています。Ministry of National Development(国家開発省)も Jurong Eastへ移転予定です。

 

日系・欧米系共に、民間企業の郊外への大型移転も増えています。ただし、一般的に、オフィス・ロケーションを現在地から大きく移転すると、キーとなる従業員が退職するリスクも大きいので注意が必要です。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.292(2015年11月16日発行)」に掲載されたものです。

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