シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPオフィスを借り替える(その1)

シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年10月19日

オフィスを借り替える(その1)

オフィスの転居を検討・実行される日系企業様が増えています。今まで経済環境や本社業況などで我慢していたが、海外市場へ軸足を移すにともない、オフィスも戦略的に移転・拡充したい、というのがその背景です。オフィス移転に際して留意すべき諸点を取りまとめてみました。

 

1.現在のオフィスの不都合: まずは現状分析

面積的不都合: 広すぎる。狭すぎる。
立地的不都合:顧客から遠すぎる。従業員採用や通勤に不便。MRT駅から遠い。従業員の昼食の便が良くない。CBD乗り入れを避けたい。近隣工事騒音が気になる。事業所が複数立地に分散。オフィスが複数階に分散。1箇所に集中している事業所を、中心部メインオフィスと郊外バックオフィスに分割したい。
家賃的不都合:家賃の大幅値上げが予想される。
設備的不都合:“現状不適格”で安全性に懸念がある(例:スプリンクラー未設置。アスベスト使用など)。OAフロアが標準装備でない。柱が多く、オフィスレイアウト変更に難がある。空調設備や電源設備が老朽化して問題がある。エレベーターが遅く、よく故障する。天井が低く、圧迫感がある。駐車場(含む来客用)を十分確保できない。
用途的不都合:商品在庫を保管したい。ラボを併設したい。
管理的不都合:来訪者管理等、セキュリティに問題がある。テナントが雑多で、いわゆる雑居ビル化しつつある。トイレの維持管理に問題がある。
再開発で追出されるリスクがある:近隣が再開発ブーム。高度制限が変更になり、より高層のビルへの建替えが可能となった。家主が変わり、投資家の所有となった。
オフィスレイアウトの全面変更:業務に支障なく、オフィスレイアウトの全面変更工事をするのが難しい。

 

2.オフィス転居の経済合理性

上記1のような種々不都合・不満・不安のうち、最低2つ以上に該当する場合は、オフィスの転居を検討する価値があります。逆に、1つであれば、転居コストを考慮すると、経済合理性が無い場合も多いです。

 

3.オフィス移転のタイムライン

現行賃貸契約期間内に、現在のオフィスをスケルトンに原状復帰して、現家主に返却する契約義務があるのが通常です(所要約1ヵ月)。また、新しいオフィス・スペースも、スケルトン渡しが標準のため、十分な改装期間をみておく必要があります(所要1~2ヵ月)。これらに、オフィス選定のための調査期間・社内手続き・レイアウト検討・改装業者選定・改装許認可所要期間を考慮すると、現行契約満期の6ヵ月前くらいから検討を開始する必要があります。
(次回11月16日号(Vol.292)に続きます)

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.290(2015年10月19日発行)」に掲載されたものです。

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