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ビジネス特集

2012年1月1日

一年の計は元旦にあり・2012年を成功に導くヒント

2012年という新しい年に向けて、新たな目標や計画を立てている方々も多いのでは。しかし、言うは易し、行うは難し。そこで、ビジネス書やセミナーなどでビジネスパーソンを啓蒙し続けている方々に、2012年の「元旦の計」を遂行して成功に導くためのヒントを頂きました。

次の1年でやることを年末に設定してゴールを目指す

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本田 直之さん

東京とホノルルを拠点に、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時にレバレッジマネジメントのアドバイスを行っている。

レバレッジコンサルティングWebサイト

1年の計画を立てるのはいつもその前年の年末です。15年分ぐらいの長期プランがあるので、その中で次の年に何をするかを考えます。マラソンは長い距離を走る辛いものですが、42.195kmだとわかっていて、ゴールを目指すから走れます。ゴールが無くても頑張れるすごい人ならよいのですが、僕はすぐにだらけてしまうので、新しい年が始まる前にゴールになるものを設定しておくわけです。

1年の計画には自分がやりたいことをたくさん上げます。100のプランを立てたとして、その中で2割ぐらいできなかったことがあったとしても良いと思うんです。できなかったことは、それだけ思いが強くなかったというだけ。例えば、「英語をしゃべれるようになる」という目標を立てても結局話せない人は、実は仕事で英語が必要ではなかったりして、思いはそれほど強くないんです。オリンピックに出てマラソンで金メダルを取ることを目標にしているランナーなら、「今日は眠たいから、走るのはやめた」なんて言っていられませんよね。本当に思っていることだったら、何が何でもやろうとするでしょう。

僕自身の2012年の目標は、ものを減らすこと。昨年は、東京とホノルルの自宅やオフィスで都合3回引っ越しを行って、ものを3分の1に減らしました。今年はさらにものを減らすことを継続して、情報なども減らす予定です。ものが多いと思考も鈍って動きが遅くなるので、常に身軽でありたいですね。また、「思考のストレッチ」を心がけたいと思っています。これだけ変化の激しい時代で、頭が固くては取り残されてしまうので、ひとつのところに留まらずに常に移動し続けることで、いろんな人の考えや、いろんなことに触れるようにしようと考えています。

シンガポールにいる皆さんは、非常に恵まれた環境にあると思います。他の環境を知っている方には特にわかって頂けると思いますが、長くいて慣れてしまうと当たり前になりがちです。シンガポールにいるというアドバンテージをしっかり生かしてください。

 

自分の弱さを知って改善しながら目標達成を目指す

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和田 裕美さん

コミュニケーション力・営業力アップ等の講演を国内外で行っている。ビジネス書をはじめ自己啓発書など著書多数。

株式会社ペリエ(和田裕美メインサイト)

 

私の場合、自分の執筆スケジュールや講演ツアーのスケジュールが先に決まってしまうので概ねの1年の流れが年明けには出来上がっています。すでに期限がそこにあるので、そこから逆算して今は何をすべきか?いつまでに何をやっておくかはおのずと決定します。

それだけだと何も生み出せないので、すでに決定している目標の合間に何ができるか、その隙間で何を始めることができるかを、スケジュールを見ながら同時に決めていくことが多いです。

また、私が企画して制作した「和田裕美手帳」は1年を52週間という枠で捉えています。半期ごとなら2回、四半期ごとなら4回、一月ごとなら12回というそれぞれの区切りや目標が設定できますが、一週間ごとに「今週やること」と目標設定することは中だるみしやすい私が達成するためにはとっても大事なことなのです。

ただ、いくら計画を立てても突然のアクシデントがあることもあれば、私たちは生身の人間ですから体調を崩すことだってあります。そんなときでも、状況を受け止めて、「いつでも挽回できる」と信じて悲観的にならない心を持つこと、あきらめずに何度も挑戦できることが何よりも大切なことだと私は思います。

毎年1月2日に私がやっていることは100の目標を書き出すことです。なかなか100は思い浮かばないと思われるかもしれませんが、それは何かを達成するというものでなく「人を誉める回数を増やす」とか「【ありがとう】をたくさん言う」とか「粘り強くなる」とか「謙虚さを忘れない」などという、自分がどういう人間になりたいか、人とどんなふうに関わりたいかということが中心になった目標ばかりが8割以上もあるのです。自分を改善したいところなど数え切れないほどあるのでこれは書くのに困りません。(笑)

目標達成に向かってがんばるのは自分自身です。どんな素晴らしい達成方法を用いてもそうやって「自分を見つめなおす」ことで自分の弱さを知って改善することなしにそれを成し遂げることなんてできないのではないかと私は思うのです。

 

2012年は、早寝早起き朝ご飯の基本生活を

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手塚 祐基さん

脳の感性が生む流行法則などの研究を生かし、製品開発コンサルティングおよび専門学校講師、セミナー講師などを行っている。株式会社感性リサーチ 客員研究員

 感性トレンド研究日誌

 

2011年は、大きな変化の年でした。チュニジア、エジプトの民主化革命、ロンドンのデモ、ウォール街デモが起き、東日本大震災による福島原発事故でエネルギー問題と環境問題が起き、ギリシャの財政危機も起きました。2012年は、更なる変化の年となります。問題も多い中、シェールガスやメタンハイドレードの採取など、技術革新による新エネルギー開発も進みます。

こんなに世の中の変化の激しい時期は、自らも思い切って変化することをお勧めします。今までやってきたことでも、固執せずに切り捨てる臨機応変さが必要です。

1年の計を立てるときも、今年は、あまり細部まで決めつけ過ぎず、おおまかな目標を立ててください。

目標を詳細に思い描くと、それを実現することはできても、思い描いたこと以上のチャンスが来た時に、それを逃してしまいます。望外という言葉がありますが、これは望んでいた以上の結果を得ること、思いもよらぬ良いことがやって来ることを言います。この望外を得るには、綿密に積み上げた計画が失敗したようなときでも、「次に、もっといいものが来るさ。」と思える健康な脳の状態を作ることです。この状態にするには、難しいトレーニングは不要です。早寝早起き朝ご飯と適度な運動をすればいいのです。

理想的には、22時に就寝して、朝5時台~6時台に起きるのが良いです。夜眠る前の2時間はパソコンや携帯電話の画面を見ないで、眠るときは足元の豆電球以外は光がまぶたに当たらないようにすると効果的です。22時から翌朝2時は、脳の海馬という部位が活性化し、成長ホルモンの分泌も盛んです。この時間に眠ると記憶力がよくなり、肌もきれいになるのです。そして早起きして朝日を浴びるとセロトニンという神経伝達物質が活性化され、精神が安定し大脳も活性化します。ここに朝ご飯で脳に栄養をあげると健康な脳になるのです。変化の1年だからこそ、脳を健康にして明るく楽しくお過ごしください。

 

月ごとの計画と使った時間の見える化で目標達成

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石田 淳さん

マネジメントの生産性をあげるメソッドとして注目されている行動科学(分析)マネジメントの日本での第一人者。著書多数。

ウィルPMインターナショナルWebサイト

 

私の場合、はじめは12月中に来年のカレンダーを1ヵ月毎コピーして、全体を俯瞰します。その中で、譲れないプライベート日程をまず先に埋めていきます。たとえば、○○マラソンの日程、といったように、です。次に、そこから毎月の計画をしていきます。その際、iPhoneの時間管理アプリ「Timenote(タイムノート)」を使用して1ヵ月間、自分が何に時間を使っているのかすでに計測しているので、それを基に日々の日課に落としていくようにしています。

ちなみに、タイムノートは「レースに出場するために毎日30分は走る」、「1日1時間は自己啓発のために時間を確保したい」、「会社の残業を半分に減らしたい」など、時間に振り回されている場合に効果絶大です。時間管理は、自分の行動を可視化して、時間の使い方の傾向を実感することが改善のきっかけになります。このアプリは、自分が毎日どの活動にどれだけの時間を使っているかを簡単に記録することができ、仕事や語学勉強、マラソン、読書、会食、雑務など、使った時間の見える化が可能。意識して仕事をしている時間と、何も考えずに作業をしている時間の計測に使えるのでオススメです。

話を戻しますと、毎年、その年に行うセルフマネジメントを1、2つ決めるので、それも日課に入れていきます。当然、抽象的ではなく具体的な行動レベルに落とし込んで。そして、継続のための行動ができた時には、手帳にレ点や○、×をつけます。同時に「スモールゴール(小さな目標)」を設けていきます。1年の最終的なゴールの前に、越えるべきスモールゴールをいくつも作ってやることで達成感を自分に与えれば、結果の蓄積により達成感は次の行動の条件として機能します。行動する喜びも生まれ、次の達成感を求め行動を繰り返していくように仕向けます。また、ブログ日記やツイッターを活用して「サポーター」をつけることも重要。他人や周囲から自分の行動における賞賛「よくやった」「すごい!」の声は、行動継続をサポートするので有効です。

 

目標を毎朝必ず目に触れさせる

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嶋津良智さん

(株)リーダーズアカデミー代表、シンガポール在住。アジアエックスにてコラム『上司につける薬』を連載中。

リーダーズアカデミーWebサイト

 

「元旦の計」立て方のポイント

いきなりこのテーマに反するようなのですが、僕は「今年は目標○○件」といった具体的な目標は立てないんです。ただ、僕の中で一生達成できない目標があって、それは「部下にいい影響を与えられるリーダーを一人でも多く育成し、より多くの会社の業績を伸ばすことで社会に貢献する」こと。僕自身、勝手でワガママなので(笑)、具体的な数値などで縛りを設けてしまうと、良いパフォーマンスを発揮できないことが自分で分かっています。そこで、もっと幅広い、いい意味でファジーな目標を設けて、それを目指して毎日目の前のことにベストを尽くすようにしています。自分をよく知った上で、自分に合った目標を立てることがポイントと言えるかもしれません。

「元旦の計」実行のポイント

目標を立てたものの、日々の業務に追われているうちに、目標に対する意識が薄れてしまうことが良くあるのではないかと思います。そこでおすすめしたいのは、毎日自分の目に触れるようにすること。僕の場合、毎日必ず見るスケジューラーを活用しています。スケジューラーで終日の予定は一番上に表示されるので、目標を終日の予定として書き込んでおくんです。また、タスクも終日の予定として入れています。その日にやれなかったタスクは、次の日に移します。中には何日も移し続けるタスクが出てきて、そうなると何とかして次の日には移さずに済むように工夫するようにもなります。

これは自分で初めて起業した平成5年(1993年)から続けていて、当時はちょうど出回り始めたばかりだった電子手帳を使っていました。紙の手帳でタスクを別の日に書き写すのは面倒ですが、電子手帳ならドラッグするだけ。これは画期的だと思いましたね。自分でしばらく使ってみて良かったので、社員にも全員持たせるようにしました。

現在僕のスケジューラーはiPhoneです。目標をその日の予定の一番上に表示させることで毎日目に触れさせていることが、良い刷り込み効果にもなっていると思います。

 

「目標」「目的」「戦略」の設定で元旦の計を具体化

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池本克之さん

経営者としてドクターシーラボ、ネットプライスを上場させた経験を生かし、多くの企業の成長をコーチングしている経営プロコーチ。

池本克之 公式サイト

 

「元旦の計」立て方のポイント

誰もが思う通り、より高い成果を手にするためには、まず「目標」がなくてはならない。たとえば、「2012年12月31日までに売上げを10億円にする」といったものだ。しかし、元旦の計を立てるなら「目標」以上に大切なのは「目的」の設定だ。私が出会った成功者たちと、そうでない人の決定的な違いはそこにある。

目標とはあくまで基準。それよりも、その目標を達成すると、自分は何を手に入れて、どうなれるのかを想像する力、つまり「何のために目標を達成したいのか」という「目的」を具体的にすることが重要なのだ。

「目標」と「目的」の2つを設定したなら、最後にそれらのゴールにより早く、確実にたどり着くための「具体的な戦略」を描く。この3つのどれが欠けても、夢は夢のままで終わってしまう。頭ではわかっていながら、3つを声に出して言える人は少ない。「来年こそは」と今年の年末に呟かないためにも「目標」「目的」「戦略」の達成と実行を、紙に書き出してほしい。年初に誓いを立て、ことあるごとに、あるいは毎月や毎週といったタイミングを決めて誓いを確認するには有効だ。

「元旦の計」実行のポイント

目標が高くなるほどに難易度は上がる。難易度が上がってもモチベーション維持ができる人とできない人の違いは何か?答えは「戦略の具体性」だ。戦略が漠然とするほどに、人はアクションに移せない。

例えば、「鶏を丸ごと食べる」では具体的な行動を想像できないが、「鶏を365切れにわけ毎日1切れずつ食べる」と具体化すると鶏を食べ切る自分の姿が想像できる。成功者はゴールまでの道のりを細切れにする「目標設定力」を身につけている。

私自身、これを養うため10年前から100キロマラソンに挑戦している。100キロをより早く走り切るためには、体調管理、日々のトレーニング、さらに当日のペース配分などを考える「目標設定力」そのものが試される。新しい年がスタートする今こそ、「目標設定力」を養うための新しい挑戦をおすすめしたい。

 

To-DoとTo-Beをセットで考える

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細谷 功さん

製造業を中心として幅広くコンサルティングを手がけている。『地頭力を鍛える』『象の鼻としっぽ』など著書多数。

細谷功のホームページ

 

AsiaX読者の皆様、あけましておめでとうございます。

新年にあたり、私が普段仕事の計画を立てて実行する上で心がけている2つのポイントをご紹介することで皆さんの「新年の目標」の設定と実行の参考にしていただければと思います。

   1. やるべきこと(To-Do)と目指す姿(To-Be)をセットで考える

設定する目標の中には大きなものから小さなものまで様々な種類のものが考えられますが、大きく2種類に分けて設定すると考えやすいと思います。それは大きく「やるべきこと」(To-Do)と「目指す姿」(To-Be)の2通りです。これらを比較で下の表に示します。

やるべきこと(To-Do:What)目指す姿(To-Be:Why)
「Do動詞」(○○する)で定義する 「Be動詞」(○○という状態)で定義する
できた/できないを判定可能にする(数項目) 自分の将来像を可視化する(1通り+α)
なるべく具体的に 多少抽象的でもよい
なるべく現実的に 「夢」でもよい
四半期毎 3~5年スパンで

まず「やるべきこと」の方ですが、「○○する」という形の動詞で表現します。なるべく具体的で現実的なものとして、振り返ったときにできた/できないが判定しやすいものがよいと思います(例:「規則正しい生活を送る」よりも「平日は必ず12時前に寝る」がベター)。

これに対して「目指す姿」の方は将来の自分のスナップショットを思い浮かべるイメージで「状態」を定義します。これは「やるべきこと」をやるのは最終的にどうなりたいかを思い浮かべることでモチベーションをキープするためです。したがって多少抽象的でも「夢」に近いものでもよいでしょう。

   2. いつも考えていることを目標にする

「元旦だから」ということで、突如降ってわいたような唐突な目標を設定してもすぐに忘れてしまうのが関の山です。日頃やりたいと思っているがなかなか実現できないものを、期限を決めて具体的に形にすることで目標に設定するというのが有効だと思います。何事も「熱しやすいものは冷めやすい」もので、逆も真なりです。直前に本やテレビで感動したことのように、突然触発されて思い立ったことというのは長続きしないものです。それよりも自分が普段漠然とでも思っているが、なかなか具体化しない類の内容がよいと思います。

私も毎年その年に達成したい目標を設定しています。もちろん達成できたことばかりではないですが、それによってより現実に近づけていることは間違いないと思います。是非2012年を良い年にしましょう!

 

「一年の計」よりも「十年の計」「百年の計」を

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鳥内 浩一さん

マーケティングのスペシャリストとして日本各地の経営者・起業家に対して業績向上のための講演、セミナー、コンサルティングを行う。

株式会社リアルインサイトWebサイト

 

実を言うと、私はあまり「一年の計」というものを重視していません(笑)。一応ざっくり立てますが、良くも悪くも、実現時期や結果はずれます。ただ今年を振り返ってみると、仕事面では、4月に立ち上げた会社は順調ですし、一番やりたかったこと(日本発の新しい資本主義経営のモデルを世に出す)も12月に何とか間に合いました。震災復興支援の活動も及ばずながら継続し、出版は2冊を目標にしながら間に合わなかったのですが、今2社の出版社と話を詰めています。嶋津さんとアジアエックスさんとのご縁のおかげで、シンガポールで念願の海外初講演もできました。忙しいですが、プライベートでは今年も2回ほど妻と海外旅行も満喫し、色々やったと思います。

何よりも嬉しいのは、充実感があることです。目標を達成できたかどうか以上に、今が楽しいと言えるかどうかを私は重視しています。そのために私が何をしているかというと、「一年の計」よりも前に「十年の計」「百年の計」を作ります。今取り組もうというテーマは、最低でも私の今後の全ビジネス人生はかかると思っていますが、その位のことに取り組まなければ、生きている意味がないと思います。人に話すとあまりに壮大すぎて、現状とのギャップに笑われそうですが、そこを起点に考えると1年単位での目標など些末なもので、多少のずれはどうでもよくなります。

有限意識は重要ですが、そもそも全人生をかけて取り組むテーマが見つからないことの方が問題です。死ぬ間際になって「何のために生きたのか」が分からないことほど悲しいことはありません。見つかってない人がそれをどうやって見出すか。私は、「答えは現場にしかない」と思います。今までの自分の狭い経験の枠の中で頭をこねくり回しても、大したものは出てきません。「生涯をかけてこれをやる」という決意のためには、強烈な原体験が必要になります。とにかく色々なことにチャレンジすることだと思います。その方が、はるかに楽しく「予想外」に人生が広がって、充実した人生が送れるのではないかと思います。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.203(2012年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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