2019年10月25日
第9回 シンガポールでファンドを買うには
先進国では経済の低成長が予測される中、投信のグローバル化が進展しているにもかかわらず、日本の運用会社はほとんど外国に進出していません。多くの国内籍ファンドの運用は外国の投信委託会社に外部委託をしているのが現状です。
シンガポール、香港、ドバイなど英語圏のタックスヘイブンでは、日本では購入できないファンドに投資をすることができます。ただし、運用レポートなど翻訳されていないために英語で情報収集をする必要があります。
シンガポールでファンドを選ぶ際のポイント
さて、ファンドを選ぶ際の最も重要なポイントは、いい運用会社を探すことです。投資家としてこれからの長い付き合いに備えるために、一貫した運用スタイルやクオリティを継続できる組織かどうかを見極める必要があるのです。一般的には、資金が潤沢であれば安定性を確保でき、ファンドの数が少なく、ファンドマネージャーが多い方がきめ細かい運用が可能になるといわれています。
資産運用の9割はアセットアロケーション(資産配分)によって決まるとも。しかし、リスクを低減させながらリターンの最大化を目指すには、株式のみではなく、債券も組み合わせて分散投資をすることが好ましいです。
高い利回りが期待できるハイイールド債
シンガポールには、配当が多く出るファンドもあるので、高い配当利回りを期待する場合、ハイイールド債のファンドや株式を3割程度組み入れたバランスファンドが考えられます。
ハイイールド債とは一般にBB(ダブルB)以下の債券のことです。利回りが7%程度と高く設定されている反面で元本割れのリスクが高く、ジャンク債と呼ばれることもあります。ただし、複数の債券が組み合わされてパッケージ化されているファンドの場合、リスクを分散させることができます。
例えば、日本企業のソフトバンク、パソコンメーカーのデルなど有名企業もハイイールド債を発行しています。発行体の中身を見ればすぐに潰れそうなわけではないし、複数を組み合わせてリスクを分散させれば、全てがダメになる事態が起こることは考えにくいのです。
シンガポールでファンドを購入するには?
ファンドをシンガポールで購入する場合、フィリップ証券などユニットトラストの取り扱いのある金融機関に口座を開設する必要があります。または銀行に投資口座を別途開設したり、IFA(インディペンデントファイナンシャルアドバイザー)を経由して購入します。金融機関やファンドによっては自動積み立てができる場合もあるほか、スポット購入の場合は、一般に1000Sドル程度からと比較的少額から投資することができます。
花輪 陽子(Yoko Hanawa)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、(国家資格)CFP®認定者
『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多い。
HP:http://yokohanawa.com/
Twitter:@yokohanawa
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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.351(2019年11月1日発行)」に掲載されたものです。