2019年4月23日
Q.妻が海外で出産。社会保険の給付はどうなる!?
~原則は国内同様。ただし、事後申請の対応となる~
健康保険に加入している人や、その人が扶養している家族が出産した場合は、健康保険組合等から(家族)出産育児一時金として、1子につき、協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合で40万4000円がもらえ、海外で出産した場合も同様の取り扱いとなっています。ただし国内であれば、事前に病院と合意することによって、この出産育児一時金の金額を病院での出産費用に充当することができるため、出産費用の負担を軽減することが可能です。
また、出産が自然分娩ではなく、帝王切開になる場合は、健康保険が適用されるため、国内では病院での窓口負担が3割となりますが、海外で出産する場合は、当然病院では健康保険が適用されないため、一旦、全額負担して、海外療養費として健康保険組合等に対して請求することになります。
なお、海外療養費として支給される金額は、「日本国内で同じ治療をした場合に掛かる治療費」の7割相当が返還されることになります。実際に掛かった費用の7割相当分が返還されるわけではないので、ご注意下さい。
ちなみに、家族出産育児一時金を申請する場合は、専用の申請書に医師の証明(日本語訳)を記載してもらう必要があります。また海外療養費を申請する場合は、専用の申請書に1)診療内容明細書(日本語訳)、2)領収書、3)パスポートの写しが必要となります。なお、健康保険組合等によって取り扱いが異なるため、事前に加入している健康保険組合等に確認することをお勧めします。
▶ このコラムの回答者
武澤 健太郎
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アジア進出担当 執行役員
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.342(2019年2月1日発行)」に掲載されたものです。