シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP「日本法人を退職したら健康保険に加入できない?」

海外進出「社会保険・労務管理」

2019年4月22日

Q.「日本法人を退職したら健康保険に加入できない?」

~任意継続の手続きをすれば加入も可能~

 シンガポールの現地法人に2年近く出向していますが、近々日本の会社を退職して、今勤めている現地法人に転籍する予定です。そこで質問ですが、退職後も引き続き日本法人で加入している健康保険を使いたいのですが、方法はありますか。持病が悪化しており、できれば日本で手術を受けたいと思っているため、何らかの形で今の健康保険を使えるようにしたいと思っています。なお、日本に住民票は残していません。
(Tさん)

 日本の会社を退職すれば、現在加入している社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格は喪失されますが、健康保険については、一定の要件さえ満たせば任意継続被保険者として、引き続き健康保険に加入できます。任意継続被保険者とは、在職時の2倍の保険料(上限あり)を支払うことで健康保険に継続して加入できる制度です。具体的には、加入していた健保組合などに必要な書類を提出するだけでよいのですが、残念ながらほとんどの健保組合は届出後に発行される保険証や保険料の納付書を海外の住所までは郵送してくれません。したがって、親族などに協力してもらい、日本国内で書類のやり取りを代わりにしてもらう必要があります。保険料については原則、毎月の納付書に従って納付することになりますが、日本に銀行口座があれば口座振替も可能です。なお、任意継続被保険者の手続きで一番注意が必要なことは、申請期限が退職日の翌日から20日間以内ということです。この申請期限を1日でも過ぎてしまうと、任意継続被保険者になれません。そのため、郵送にかかる期間などを考慮して、退職前から早めに準備しておいた方がよいでしょう。質問者のTさんの場合、日本に住民票がないため、年金は強制加入ではなくなります。「将来の年金を少しでも増やしたい」のであれば、健康保険とともに国民年金も任意加入することも可能です。

 

▶ このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アジア進出担当 執行役員

社労士大槻オフィスシンガポール

80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
ご相談は、Emailにてご連絡ください(担当:武田 正行)

文=社労士大槻オフィスシンガポール

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.344(2019年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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