2018年12月29日
Q.「海外赴任者が仕事中にケガ。労災は受けられる!?」
~労災に特別加入していなければ受けられない~
日本国内で勤務中や通勤途中にケガをした場合は、労働者災害補償保険(以下、労災)から給付を受けることができます。しかし、海外勤務者の場合は、「出張」か「派遣(出向)」のどちらの形態に該当するかで取り扱いが異なります。具体的には「出張」に該当すれば、国内と同様の給付が受けられますが、「派遣(出向)」に該当すれば、原則給付を受けられません。ところで、「出張」とは、単に勤務場所が海外で社員の所属も指揮命令も日本にある場合であり、一方、「派遣(出向)」とは、社員が海外法人に所属し、そこから指揮命令を受けて勤務する場合を指します。会社ごとの呼称や期間によって、区別されないのでご注意下さい。ただし、「出向」に該当する場合であっても、会社があらかじめ労災の特別加入の手続きをすれば、例外的に労災を受けることもできます。
Eさんは、3年近く海外赴任をされているとのことです。おそらく、上記「出向」に該当すると思われますが、「出向」に該当する場合は原則労災の対象となりません。ただし、会社があらかじめ労災の特別加入の手続きをしていれば対象となります。おそらく、民間の保険等には加入されていると思いますが、一度、日本の人事部に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.341(2019年1月1日発行)」に掲載されたものです。