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会計・税務相談

2010年12月6日

Q.シンガポールで新しく会社を設立しましたが、商品・サービス税(GST)に登録する義務はあるでしょうか。また、登録した場合、登録前に支払ったGSTについて還付を受けることはできるでしょうか。

登録の要否

GSTは、現在既に課税供給を行っており、かつ過去12ヵ月間の課税供給が100万Sドルを超えているか今後12ヵ月間の課税供給が100万Sドルを超える見込みである場合に登録義務が発生します。新しく設立された会社でまだ営業を開始していない場合には、課税供給を行っていないことになりますので、登録義務は生じません。

 

但し、課税供給を行う予定があれば、任意に登録することができます。任意登録を行うか否かは、登録することにより支払ったGSTが還付されるメリットと、四半期毎のGST申告およびそのための会計処理を行わなければならないデメリットを考慮して判断することになります。

 

任意登録

任意登録する場合には、GSTの納付および還付について口座振替(GIRO)を申し込まなければならないため、銀行口座が既に開設されている必要があります。登録申請時に既に課税供給を開始している場合には、契約書、受注書、請求書等、課税供給を証明する書類を併せて提出しなければなりません。新設会社でまだ営業を開始していない場合には、事務所の賃貸契約書等、課税供給を行うための準備を進めていることを証明する書類が要求されます。

 

会社の取締役は、登録申請前に内国歳入庁(IRAS)のウェブサイト上のEラーニングコースでクイズに回答してGSTの概要を理解しなければなりません。また、取締役または経理担当者は、登録後3ヵ月以内にGST講習会への参加が義務づけられています。更に、一旦任意登録すると、最低2年間は登録し続けなければならないとされています。これは、安易な登録を避けるためです。

 

登録前の取引

登録事業者は、登録日以後の課税供給について顧客からGSTを徴収しなければなりません。逆に登録日前の取引についてGSTを徴収することはできません。また、登録日前に支払ったまたは請求されたGSTについては、課税供給に使用される固定資産の取得や登録日以後に販売された商品の仕入等、所定の条件を満たすものについてのみ最初の申告時に還付請求することができます。登録日までの事務所の家賃、既に使用している事務用品等にかかるGSTについては還付請求することができません。

 

IRASは、登録日前に支払ったまたは請求されたGSTの還付の可否について判断するためのチェックリストを発行していますので、最初の申告時にそのチェックリストを用いて確認するようにしましょう。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.180(2010年12月06日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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