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2015年1月19日

感性トレンド編〈第4回〉どれもみんないい時代とトップの時代

「時代が私を待っていたの。私はこの世に生まれさえすればよかった。時代は準備完了していたのよ」。
このことばは、ファッションブランドを一代で築いたシャネルのことば。彼女は、「時代」を常に感じていたのでしょう。女性が仕事を持つことが珍しかった時代に、自立した女性に向けた服、バッグ靴、アクセサリー、香水、リップスティックなどを作ったシャネル。彼女は、婦人服の世界に革命をもたらしたと言われています。
シャネルは、それまでの女性や社会の意識をも変えた改革者でした。華美すぎて、歩くことも不自由な女性たちのファッションに異を唱え、シンプルで合理的な精神をファッションに導入しました。そして、単なる流行ではなくスタイルを作った人でした。

 

現在、シャネルが感じた時代の気分がまた戻ってきています。凛々しい本質の時代が2013年から始まりました。男らしさなどの「〜らしさ」への好感度も上がります。今は、2014年、2015年と徐々に人々の気持ちが変わっていく過渡期です。

 

シャネルが活躍し始めた時期から、56年後の同じ気分の時期に活躍し始めたのは、ヴィダル・サスーンです。ヘアカットの世界を変えた人ですね。
彼が理髪店に弟子入りしていたころ、女性たちは、カットしてセットしてスプレーで固めた髪を壊さないように高い枕で眠り、3週間くらい髪も洗わずにいたそうです。そんな不自由なこと、今の私たちにはできませんよね。寝返りも打たないように髪のセットを気にしながら眠るなんてことから、解放してくれたのが彼なのです。
彼は、それまでのやり方に疑問を持ち、革新すべきと考えます。人の髪は、生え方も髪質も人によって違う。その人に適したカットがあると、独自のカット法を確立するのです。
伝統のカット技術を習得して、人の髪の本質を考え抜くことで、生まれた彼のカットは「サスーンカット」と呼ばれ、現在の理容師や美容師の基本技術となっています。
そして、洗ったまま何もしなくても出かけられる「ウォッシュ&ゴー」と呼ばれるスタイリングは、女性の生き方をも自由にした、と言われました。

 

さて、あなたは、何か今、変えたいものはありますか?不便だと思っていたり、許せない、と思っていたりする事で、こう変えたらいいのに、というアイデアがあったら、それが大ヒットする可能性があります。

 

56年の感性トレンドの中で、大チャンスがあるのが今の時期です。2013年から2026年までの14年間、中でも初めの3年間に何かを始めたり、だれかと出会ったりしたことが後に花開くこともあります。ヴィダル・サスーンは、第2回で取り上げた「ミニスカート」のマリー・クワントと1957年に出会います。そして1963年に彼女のショーを一緒に作るのです。

 

また、2013年の3年くらい前から変化が始まる人もいますので、そのころから始めたものがあったら、大切に継続してみてください。ただし、2013年からの気分にあったものあることが必要です。その見分け方については、次回お話しします。

 

tedzuka手塚 祐基(てづか ゆき)

株式会社感性リサーチ研究員、倉敷芸術科学大学芸術学部非常勤講師
21年間の腕時計デザイナーを経て、2006年より感性研究を開始。現在、ネーミングコンサルティングや企業向け講演活動を行う。筑波大学、工学院大学、東京大学大学院情報学環などのゲスト講師も務める。共著『人は語感でいい・悪いを決める』KAWADE夢文庫

ウェブサイト:ameblo.jp/tetsuka-kansei/

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.273(2015年01月19日発行)」に掲載されたものです。

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