2025年7月3日
ディープフェイクを見抜ける人は4人に1人
シンガポール国立サイバーセキュリティ庁(CSA)は7月2日、2024年版「国民向けサイバーセキュリティ意識調査」の結果を発表し、回答者のうちディープフェイク動画を正しく識別できたのはわずか25%であったことが明らかになった。
調査は2024年10月、15歳以上の1,050人を対象に実施され、サイバー事件、モバイルセキュリティ、基本的なサイバー衛生習慣についての意識が問われた。今回初めてディープフェイクに関する設問が追加され、AI技術の進化による偽コンテンツの脅威が反映された結果となった。
約8割の回答者がディープフェイクを見抜く自信があると回答した一方、実際に映像を見せて判断を求めたところ、正しく見分けられたのは4人に1人にとどまった。CSAのデービッド・コー長官は「信頼できる情報源で確認する習慣を身につけ、詐欺から大切なものを守る必要がある」と述べ、警戒を呼びかけた。
また、フィッシング詐欺についての理解は改善傾向にある。全ての詐欺メールを見分けられた回答者の割合は2022年の38%から66%に上昇したが、正規メールとの区別を完全にできたのは13%に留まり、2022年の24%からむしろ低下した。
専門家は、AIによる詐欺手口の高度化が背景にあると指摘する。著名人の偽映像や盗まれたアカウント、偽電話番号などが信頼性を装い、被害を拡大させている。日常的な判断が困難になり、デジタル社会への信頼も揺らいでいるという。
一方で、セキュリティ対策の取り組みには前進が見られた。セキュリティアプリのインストール率は2022年の50%から63%に上昇し、2段階認証の導入も35%から41%に増加。IoT機器のパスワード変更やソフトウェア更新の実施率も向上している。
CSAは、2024年の調査結果をもとに、9月から第6回国家サイバーセキュリティキャンペーンを実施予定。今後も市民の意識向上を図るため、企業連携やイベント、広報活動を強化するとしている。