2025年6月27日
シンガポールの働き方調査、全世代が「ワークライフバランス」を最重要視
人材紹介会社ランスタッドによる最新調査によれば、シンガポールの労働者にとって最も重要な就業要素は「ワークライフバランス」であることが明らかとなった。世代を問わず、給与や福利厚生、雇用の安定性、キャリアの成長機会、公平性といった他の価値提案を上回る結果である。
調査は世界34ヵ国で約17万人を対象に実施され、シンガポールからは2,522人が回答した。現在の雇用主に対する評価として、「ワークライフバランス」と「給与・福利厚生」の両項目について肯定的に評価したのは、いずれも50%強にとどまり、依然として改善の余地があることがうかがえる。
世代別の優先順位を見ると、Z世代(13~28歳)とミレニアル世代(29~44歳)は「バランス」と「給与」を重視しているのに対し、X世代(45~60歳)はやや給与に重点を置く傾向がある。加えて、Z世代においては「公平で包括的な職場環境」も重要な要素となっており、企業の公平性評価は前年比で4ポイント低下した。
また、Z世代は「研修や能力開発の機会」、X世代は「財務的に健全な企業」を重視しており、世代間での関心の違いも浮き彫りとなった。働きやすい雰囲気への期待値も高齢層ほど厳しい傾向がある。
従業員のエンゲージメントにおいても、「ワークライフバランス」が主要因とされており、Z世代の68%が2025年において意欲的であると答えた。一方で、「認知されないこと」「報酬の不足」「柔軟性の欠如」などが退職の動機となっており、Z世代の57%、ミレニアル世代の54%がより良い待遇を求めて離職を検討している。
AIの導入に関しては、Z世代とX世代に使用が広がっている一方で、ミレニアル世代は使用頻度がやや減少している。Z世代の44%はAIによる業務への影響を「大きい」と認識しており、6%は職を失う可能性があると懸念している。
ランスタッド・シンガポールのブラスコ代表は、「柔軟な働き方が当たり前となる中、ワークライフバランスを重視する姿勢こそが、優秀な人材を引き寄せる鍵である」と述べている。