2025年6月17日
5月非石油国内輸出が前年比3.5%減少
シンガポール政府は2025年5月の非石油国内輸出が前年同月比で3.5%減少したと発表した。市場予想の8%成長を大きく下回り、前月の12.4%増から一転してマイナスに転じた状況である。
電子部品の輸出はわずかな増加にとどまったものの、石油化学製品、非貨幣性金、特殊機械などが輸出減に寄与した。また地域別では、台湾、インドネシア、韓国、香港向けの輸出は増加した一方で、米国、タイ、マレーシア向けは落ち込んだ。
世界的に米国の関税などによる貿易減速の影響が懸念される中、シンガポールは2025年のGDP成長率見通しを1~3%から0~2%へと下方修正している。貿易依存度の高い同国にとって、本件は景気の先行指標として注目を集めている。
ガン・キム・ヨン貿易相は、現在の10%関税水準については譲歩しないとしたうえで、米国が提案する医薬品関税に関して特恵交渉を継続中であることを明らかにした。これにより、世界貿易の不透明感がシンガポール経済に与える影響が改めて浮き彫りになった。