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経済

2025年6月17日

シンガポール、公共交通改革へ自動運転車両の導入加速へ

 シンガポール政府は今後5年間で、自動運転車の国内展開を本格的に進める方針を示した。目的は、公共交通網の効率化と、特に郊外のHDB住宅地から都心への通勤時間短縮である。
 
 新任のジェフリー・シォウ運輸代行大臣は6月11日、報道陣へのインタビューで、HDB地域に小型の自動運転シャトルやミニバスを導入し、固定ルートでの柔軟な運行を検討していると語った。ピーク時には主要交通拠点へ、オフピーク時には診療所や地域センターなどへ接続することで、交通の選択肢を広げる狙いである。
 
 導入が進めば、「ファースト・アンド・ラスト・マイル」の課題が解消され、MRT駅やバスインターチェンジまでの移動効率が向上すると同氏は指摘する。現在、公共交通による移動は自家用車の2〜3倍の時間がかかる場合もあり、その格差を半減させることを目標としている。
 
 バス路線の拡充も進める方針だが、運転手の確保や訓練、車両・車庫の整備が課題となっており、自動運転車の導入はこの人手不足の解消にもつながるとしている。
 
 すでに陸運庁(LTA)は2026年中頃からの自動運転バスの実証実験に向けた提案募集を終了。短期的には安全要員の同乗が必要だが、将来的には完全無人運行も視野に入れる。
 
 また、2040年を目標とする「20分タウン・45分シティ」の実現に向け、新規鉄道路線の整備も進んでおり、2030年代までに大部分が完成予定である。
 
 シォウ大臣は「我々の交通システムは完璧ではないが、十分に機能している。さらに改善していく決意である」と語った。

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