2025年6月18日
COE制度は当面維持、自動車政策のバランス重視
シンガポールのジェフリー・シォウ運輸代行大臣は6月11日、証書制度(COE)や配車サービス、深夜交通など複数の交通政策に関する見解を示した。COE制度については、短期的な大幅変更は行わず、ERP 2.0への移行と車両への新型車載機(OBU)搭載に注力する方針であると語った。
COEは限られた道路資源を配分するための仕組みであり、すべての国民が自家用車を所有する余地はないとの認識を示した。配車サービスがCOE価格を押し上げているとの見方に対しては、むしろ車の共有利用が需要を抑制している側面があると反論した。
ERP 2.0については、走行距離に応じた課金への移行も将来的に検討されるが、現段階では全国100万台へのOBU設置を優先。すでに半数以上の車両で設置が完了しているという。
配車ドライバーの長時間労働については、現状LTAによる規制は行っておらず、事故率が特に高くなければ介入の必要はないとの見解を示した。一方、労働安全衛生委員会のガイドラインでは、12時間以内のシフトが推奨されているとし、今後はインセンティブ制度の見直しも検討する可能性に言及した。
電気自動車(EV)については、都市設計を変える「ゲームチェンジャー」と位置付け、2030年以降の新車はすべてクリーンエネルギー車とする政府方針を再確認した。
深夜交通については、バス・鉄道ともに人手や保守作業の制約があり、むしろ運行時間の短縮が現実的課題であると述べた。
全体として、シォウ大臣は「制約の中で最も公共性の高い施策に優先順位を置く」姿勢を強調した。