2025年6月16日
スクート、欧州とアジアで路線拡充
シンガポールの格安航空会社スクートは、2025年に入り国際線ネットワークを大幅に拡充している。6月にはシンガポール〜ウィーン間の直行便を18年ぶりに再開し、同社最長となる片道9,705キロの長距離路線を開設した。運航は週3便で、機内や到着地でのクラシック演奏など、文化体験型フライトとしても注目を集めている。
一方で、7月末に運航を終了するジェットスターアジアの撤退を受け、SIAグループ(シンガポール航空およびスクート)はアジア域内の供給力を強化。スクートは沖縄とインドネシアのラブアンバジョへの直行便を新設するほか、既存路線の増便を進める。
8月にはバンコク線を週39便に、10月には週42便へと拡大。ペナン線は週28便に、マニラ線ではSIAが週35便に増便し、スクートは大型機ボーイング787を投入して輸送力を向上させる。また、クラーク、スラバヤ、ジャカルタ、プーケット、バリ、メダンへの便も順次増やされる予定である。
親会社カンタスの戦略的再編により撤退するジェットスターアジアは、約20年間にわたりチャンギ空港を拠点に運航してきたが、7月31日をもって全便を終了する。これに伴い500名超の従業員が解雇対象となるが、SIAグループは再雇用の可能性も示している。
スクートの積極的な展開は、欧州とアジアを結ぶ新たな需要に応えると同時に、文化交流を取り入れた次世代型航空体験の可能性を示しており、シンガポールの航空ハブ機能強化にも大きく貢献すると言える。