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社会

2025年6月4日

フェアプライス、スマートカート導入で「未来の店舗」へ

 シンガポール最大のスーパーマーケットチェーンであるフェアプライスは、次世代型の買い物体験を実現する「スマートカート」の試験運用をSengkang Grand Mall内のFairPrice Finest店舗で開始した。このスマートカートは、タッチパネルやバーコードスキャナー、ナビ機能を搭載し、レジに並ばずに決済まで完了できるのが特徴である。
 
 この取り組みは、6月3日から5日までマリーナベイのSands Expoで開催されている「Big Show Asia Pacific 2025」にて正式発表された「Store of Tomorrow(未来の店舗)」構想の一環である。フェアプライスグループCEOのヴィプル・チャウラ氏は、今後3年間で年20種類以上の新技術を導入すべく、数百万Sドル規模の予算を確保したと述べている。
 
 スマートカートは、フェアプライスアプリのQRコードでアンロックし、ユーザーの購買履歴に基づいた商品提案やプロモーション表示が可能。内蔵の重量センサーとスキャナーにより、カート内の商品を正確に認識し、不正な登録にはライトセンサーで警告が出される。決済はタッチパネル上で行い、全ての購入情報はアプリに自動反映される。
 
 フェアプライスは、8月に開業予定のPunggol Digital District新店舗でスマートカートの導入を拡大予定。さらに、デジタル値札、プロモーション表示、スマートカメラ、電子棚札経由でオンラインカタログにアクセスできる「Endless Aisle」など、様々な技術が試験導入される。
 
 加えて、政府のMyInfoとの連携強化により、CHASカード(医療補助制度)保有者は、アプリのプロフィール更新を行えば、オンラインおよびセルフレジで自動的に割引が適用されるようになる。この機能は2025年末までに完全実装される予定である。
 
 チャウラ氏は「買い物は単なる取引ではなく、体験である」と述べ、デジタル技術の導入により効率だけでなく顧客体験の向上を図る方針を強調。また、高齢スタッフのデジタル教育や、認知症のある顧客への対応など、包摂的な社会的使命も忘れていないと語った。
 
 フェアプライスの取り組みは、AmazonやWalmartなど海外小売大手に続く形で、シンガポールのリテール業界に新たな進化の風をもたらしている。

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