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社会

2025年2月11日

シンガポールでイスラム過激派支持の主婦と清掃員を摘発

シンガポール国内治安部(ISD)は2月10日、イスラム過激派およびテロ組織を支持するソーシャルメディアグループを運営していた主婦と、過激派組織ISISへの参加を目指していた清掃員の二人を摘発したと発表した。二人は、2023年10月7日に勃発したイスラエル・ハマス戦争の影響を受けて過激化したとされる。
 
シンガポール人の主婦ハミザ・ハムザ(56歳)には、ISDより制限命令が発令された。また、シンガポールで働いていたマレーシア人清掃員のサハルディン・サアリ(34歳)は、2024年11月にISDによって逮捕され、同月中にマレーシアへ送還された。
 
ハミザは戦争勃発後、ハマスやイッツァディン・アルカッサム旅団(AQB)を含む「抵抗の枢軸(AOR)」に関するニュースを追い始め、AORを熱烈に支持するようになった。彼女は、イスラエルとイスラエル国防軍(IDF)を憎悪し、その排除を正当化する考えを持つようになった。また、ハマスの報道官アブ・オバイダに強く心酔し、AOR関係者と接触する機会があれば積極的に応じる意向を示していた。
 
彼女は武力行使こそしなかったが、AOR支持を示す投稿をSNS上で発信し続けた。投稿が暴力的な内容として削除されると、新たなアカウントを作成し、支持活動を継続した。彼女は1,000人以上のメンバーを抱える複数の親AORグループの唯一の管理者でもあり、積極的にプロパガンダを拡散していた。ISDは、彼女に直接的な攻撃計画はなかったとしつつも、過激派思想の拡散による安全保障上の脅威とみなした。
 
一方、サハルディンは2014年にシリア内戦に関するISIS支持のオンライン資料を見たことで過激化した。ISISを「終末におけるムスリムの守護者」と信じ、2017年にはISISの自称カリフに忠誠を誓った。彼は東南アジアでイスラム国家を樹立しようとする組織と共に戦うことを望み、シリアへの渡航を試みたものの、資金不足で実現しなかった。
 
イスラエル・ハマス戦争の勃発後、サハルディンはハマスとAQBを「ムスリムの正当な守護者」と見なし、戦争を終末の兆候と解釈した。彼はガザでAQBと共に戦うことを考えたが、やはり資金不足で実行に移せなかった。ISDによると、彼はシンガポールを標的にする計画はなかったが、同国が「イスラムの敵側に立った」と認識すれば暴力行為を辞さなかった可能性がある。
 
ISDはマレーシア特別支部(MSB)と連携し、サハルディンの調査を進めた。逮捕後、彼の就労ビザは取消され、MSBに引き渡された。
 
ISDは今回の発表の中で、過激化した個人が多様な背景を持つことを指摘し、海外の紛争が過激思想の拡散に利用されるケースが増えていると警鐘を鳴らした。イスラエル・ハマス戦争の影響で、これまでに6人のシンガポール人が国内治安法(ISA)の下で処分を受けている。
 
市民に対し、過激化の兆候を発見した場合は、ISDのホットライン(1800-2626-473)への通報を呼びかけている。

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