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社会

2025年2月5日

シンガポール人の人種間関係における受容度が向上

シンガポールの政策研究所(IPS)と人種調和推進団体OnePeople.sgが2月3日に発表した調査によると、人種・宗教の調和は全体的に改善傾向にあることが明らかになった。
 
2024年の調査では、シンガポール人の人種間関係に対する受容度が2018年よりも向上していた。特に、配偶者や義理の家族、親しい友人として異なる人種の人を受け入れる割合が増加した。
 
また、職場での人種差別の報告も減少したが、少数派は依然として差別を経験する割合が高かった。例えば、仕事の応募や昇進で差別を受けたと感じた割合は、マレー系が18.4%、インド系が16.7%であるのに対し、中国系は3.7%だった。
 
一方、若年層では「マレー系やインド系の人々はより努力しなければならない」と感じる傾向が強まっている。7割の回答者は生活水準を維持するための努力に人種差はないと答えたが、若い世代ほどこの意見に懐疑的であった。
 
また、人種に基づいた固定観念を持つ人の割合は2018年の35.2%から2024年には43.5%へと増加した。これは、人々が自身のバイアスをより自覚し、正直になっている可能性があると分析されている。
 
親しい友人の人種的多様性はやや減少し、2024年には少なくとも一人の異なる人種の親しい友人がいる割合は53.2%で、2018年の55.5%から低下した。ただし、2013年の45.6%よりは高い数値である。
 
国全体の人種調和に対する評価は向上しており、2024年には65.4%が「高い」または「非常に高い」と回答した(2018年は57.1%)。しかし、この評価には人種による差があり、中国系は68.5%が肯定的に評価したのに対し、マレー系は52.4%、インド系は57%であった。
 
異なる人種への信頼度も向上し、国家的危機(例えば新型コロナウイルスのパンデミック)が発生した際に他の人種の人々を信頼できると答えた割合は72.9%(2018年は65.5%、2013年は57.3%)に上昇した。
 
さらに、シンガポールの人種的多様性を強みと考える人の割合は71.1%に達し、2018年の66.7%から増加した。特にマレー系やインド系の回答者のほうが多様性をより肯定的に捉える傾向があり、若年層ほど異なる人種や宗教の人々から学べると感じる割合が高かった。
 
全体として、シンガポールの人種間調和は改善傾向にあるものの、若年層の認識や固定観念の増加などの課題も依然として残っている。

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