2025年2月6日
親子殺害事件の元警官、死刑執行
2013年にシンガポールのコヴァンで発生した親子殺害事件で有罪判決を受けた元警察官イスカンダル・ラーマット(46)の死刑が2月5日に執行された。シンガポール警察は、彼の恩赦申請が認められなかったことを明らかにした。
イスカンダルは2015年12月4日に死刑判決を受けた。彼は2013年7月10日、ヒルサイド・ドライブの自宅で自動車修理業を営むタン・ブーン・シン氏(67)とその長男タン・チー・ヒョン氏(42)を殺害した罪で有罪とされた。彼は判決に不服を申し立てたが、2017年2月3日に控訴院は彼の控訴を棄却した。
警察は「死刑は殺人を含む最も重大な犯罪にのみ適用される」と述べ、イスカンダルには適正な法的手続きが確保されていたと強調した。
本事件は、イスカンダルが経済的困窮からタン氏の財産を狙った犯行であった。彼はタン氏が多額の現金を金庫に保管していることを知り、監視カメラの設置を名目に金庫から現金を取り出させた後、タン氏を自宅へ誘導。そこで彼を27回刺し、その後、現場に入ったタン氏の長男も殺害した。さらに、逃走の際にタン・チー・ヒョン氏の遺体を車の下に引きずり、1kmにわたる血の跡を残した。
事件発生後、イスカンダルはマレーシアへ逃亡したが、54時間後にジョホールバルのレストランで逮捕された。裁判では、彼は正当防衛を主張したものの、裁判官は「残忍かつ執拗な攻撃で明確に殺意があった」として主張を退けた。
イスカンダルは2016年にも控訴したが、2017年に最終的に棄却された。さらに2018年には、弁護団の不手際を法曹協会に訴えたが、正式な調査は不要と判断された。その後も異議申し立てを続けたが、2021年に最高裁で最終的に訴えが退けられた。
シンガポール政府は、死刑は重大犯罪に対する厳格な措置であり、法の正義を維持するためのものだと説明している。