2025年1月31日
シンガポールの新築コンドミニアム、過去15年で縮小傾向に
シンガポールでは過去15年間で新築コンドミニアムのユニットサイズが縮小している。背景には、不動産価格の高騰や住宅ローン規制、政府の不動産市場冷却策などがある。
2024年11月、イベントオーガナイザーのジェーン・シート氏(39)は、カトン地区の新築コンドミニアム「エメラルド・オブ・カトン」の678平方フィートの2ベッドルームユニットを184万Sドルで購入した。しかし、自身が住むには狭すぎるとして、転売または賃貸を検討している。彼女と42歳の夫(テクノロジートレーナー)は1,700平方フィートのテラスハウスに居住しており、長期的にはそれぞれ1軒の物件を所有することを目指している。
不動産市場の専門家によると、開発業者は購入しやすい価格帯を維持するために、ユニットを小型化する傾向がある。2010年から2024年にかけて、シンガポールの民間住宅価格は累計で76.9%上昇。これに伴い、1平方フィートあたりの価格も上昇している。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査によると、2024年の非土地所有型新築コンドミニアムの中央値床面積は904平方フィートで、2010年の1,012平方フィートから10.6%縮小。特にプライムエリアでは、1,044平方フィートから829平方フィートへと20.6%減少した。一方、郊外では13.4%減の904平方フィート、都市周辺部では4.5%減の904平方フィートとなっている。
政府は住環境の確保を目的に、2012年と2019年にユニット数の上限を定めるガイドラインを導入。さらに2019年には、バルコニーのボーナス床面積の上限を10%から7%に引き下げた。また、2023年1月から中央エリアの新築住宅では、少なくとも20%のユニットが70平方メートル(約753平方フィート)以上の住空間を確保することが義務付けられた。
2023年6月には、床面積計算の統一ルールが導入され、空調設備用の庇などが延べ床面積に含まれることとなった。これにより、開発業者はより実用的な間取りを設計するよう促されることとなった。
オレンジティーの調査によると、2024年の「シューズボックスユニット(500平方フィート以下)」の販売件数は、2012年の2,709件から90.6%減の254件に落ち込んだ。これは、政府の規制強化が効果を上げた結果とみられる。
今後も、政府の規制によって住環境の向上が図られる一方で、大型HDB(公営住宅)の再販価格が上昇する中、プライベート市場に適切な価格と住空間のバランスを持つ物件が求められている。