2025年1月22日
シンガポールの急成長企業100社、資産管理やコ・リビング、AIチャットボットが注目分野に
シンガポールで急成長を遂げた企業をランキングした2025年版「シンガポール急成長企業100」において、情報技術(IT)・ソフトウェア、金融サービス、不動産分野の企業が全体の約40%を占めた。これらの企業は、資産管理のような従来型サービスから、コ・リビングやAIチャットボットといった新興ソリューションまで幅広い分野で急成長を遂げている。
急成長の背景
2025年のリストで1位となったのは、金融アドバイザーのPFPFAである。同社は2020年の50万Sドルの売上から2023年には2,430万Sドル以上に成長した。コロナ禍による金利変動や投資リスクの変化が、資産管理や財務アドバイスの需要を押し上げたとみられる。同社は2020年に4人で設立されたが、現在では235人のスタッフが投資、保険、事業継承計画など多岐にわたるサービスを提供している。
また、デジタル資産管理プラットフォーム「Endowus」もトップ10入りを果たし、2020年から2023年の間に売上を13倍以上に拡大。コロナ禍でデジタル投資への関心が高まり、顧客は自身の財務管理に積極的に取り組むようになったという。同社は現在、10万人以上の顧客を抱え、累計5億ドル以上の利益をもたらしている。
コ・リビングとAIの台頭
不動産分野では、コリビング(共同生活)を提供するCasa Mia ColivingやThe Assembly Placeが急成長した。Casa Miaは2020年から2023年にかけて売上を27倍の550万Sドルに拡大し、Assembly Placeは15倍の1,500万Sドル超に達した。コリビングは若年層に人気で、柔軟な滞在期間やコミュニティとの交流が魅力とされている。
IT・ソフトウェア分野では、AIやクラウドセキュリティを提供する企業が注目を集めている。特にWiz.AIは、生成AI技術を活用したチャットボットで顧客対応を自動化し、2023年までに売上を27倍の1280万ドルに成長させた。同社は銀行や保険業界など多様な分野で需要を拡大している。
ランキングの意義
このランキングは2020年から2023年の売上成長率に基づいており、独立したシンガポール本社の企業が対象である。最低成長率は年平均11.8%とされ、厳しい条件をクリアした企業のみが名を連ねている。急成長分野への注目が集まり、経済の新たな潮流を示している。