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社会

2024年12月5日

19年逃亡の末、72億円横領事件のシンガポール人実業家が逮捕される

 19年間にわたり逃亡を続けていたシンガポール人実業家とその妻が、総額7,200万Sドル(約72億円)にのぼる横領事件に関連して、12月3日にマレーシア・ジョホールバルで逮捕された。
 

事件の概要


 逮捕されたのは元Citiraya Industries社のCEOであった58歳のNg Teck Lee氏とその55歳の妻、Thor Chwee Hwa氏である。同社は電子廃棄物から貴金属を回収するリサイクル事業を手がけていたが、Ng氏は廃棄物を再利用する代わりに海外で販売し、不正に5,100万USドル(約72億円)を得たとされる。
 
 このスキームには同社のCFOや社員、さらには顧客企業の従業員も関与しており、Ng氏はこれらの関係者に約200万Sドルの賄賂を支払ったとされる。CPIB(汚職調査局)の調査によれば、2003年から2004年の間に89t分、計62回の出荷分の電子廃棄物が横領されたことが判明している。
 

逃亡生活と逮捕


 同夫妻は2005年にCPIBの捜査が始まった直後に国外逃亡。身分を偽りながら逃亡を続けていたが、マレーシアの反汚職委員会(MACC)との協力により逮捕され、即日シンガポールへ引き渡された。12月4日にそれぞれ横領罪および不正利益還元防止法に基づく罪で起訴される予定である。
 

社会的影響と今後


 この事件はシンガポール史上最大規模の資産差押えを記録しており、2011年には夫妻の名義で保有されていた2,300万Sドル相当の資産が差し押さえられた。これには銀行口座、保険、株式、さらには高級住宅の売却益が含まれている。
 
CPIBのヴィンセント・リム捜査部長は、事件解決に向けたMACCの支援に感謝の意を表明し、「シンガポールは汚職や犯罪行為に対して一切の妥協を許さない」と述べた。この逮捕は、シンガポールとマレーシアの強固な協力関係の象徴といえる。

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