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社会

2024年6月7日

マレーシア出身の美容師、感染症で手足を切断しシンガポールで治療中

 37歳のマレーシア出身美容師リンさん(仮名)は、感染症により両手両足を切断する大手術を受けた後、シンガポールで治療を受けている。
 
 リンさんは、マレーシアのイポーからシンガポールに2016年に移住し、主に美容師として働いていた。しかし、2023年10月に発熱や腹痛、全身の衰弱を感じ、医師に診てもらったところ、細菌感染による重篤な状態であることが判明した。その後、リンさんは意識を失い、病院に搬送され、最悪の事態を覚悟するよう家族に告げられた。
 
 病院で目覚めたリンさんは、感染症による壊疽が進行しており、命を救うためには手足を切断する必要があると医師から告げられた。最終的に、リンさんは2023年11月に両手、12月に両足を切断する決断をした。彼女は涙ながらに「手足が黒くなり、重くなっていくのをただ見守るしかなかった」と語った。
 
 リンさんは手術後、腸に穴が開いていることが判明し、ストーマバッグを装着する必要があった。2024年1月に退院し、現在は1万5,000Sドル(約174万円)の義足を分割で支払っているが、義手はまだ購入していない。
 
 治療費として約30万Sドル(約3,500万円)を費やし、全財産を使い果たしたリンさんは現在、収入がなく、姉の助けを借りて生活している。シンガポールの3部屋の公共住宅に、姉夫婦と63歳の母親と共に住んでいる。
 
 リンさんは「家族の支えがあってこそ、これらの変化を乗り越えられた。強く生き続けなければならない」と決意を語った。また、以前の雇用主である美容院に対して、治療費の一部を支払ってくれたことに感謝の意を表した。
 
 シンガポールの医療機関からは、リンさんのケースは非常に稀であり、特に全ての手足を失うことは極めて異例だと指摘されている。彼女の勇気と困難を乗り越える姿勢には、多くの人々からの支援の手が差し伸べられている。

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